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VTuberとマンガ動画の関係 ~相乗効果を狙う戦略

噂話で聞いた話だが、Vtuber業界は制作スタッフ自体の出入りが激しいようで、同業他社で働くことも珍しくないと聞く。これに関してはVtuber業界に限った話ではないので良い悪いといったことでもないが。
その理由は金銭、待遇面などもあるだろうが、チーム解散、倒産等といった側面もあるようだ。これも当然だろう。特に新規事業ゆえに試行錯誤で、結果多くの屍の上で成り立っている。これも何処も同じ。

最近もソシャゲ会社倒産で切実な仕事募集がTwitter上を賑わせていたのも記憶に新しい。いや、何度かあって、どれを指しているか分からない程にもなっている…
そのため、別会社でみた技術が他の会社でも見られる事はそういうことになる。

■マンガ動画『奇想天外あにびっと!』が出てきた背景

さて、少々それた話から始まったが、今回のお話はVTuberとマンガ動画の関係に付いて話していきたい。

これに関しては『奇想天外あにびっと!』がわかりやすいと思うから、こちらを例に上げていく。

いままでこちらの記事に辿り着かなかったため、『奇想天外あにびっと!』がなぜ生まれたかは分からなかった。しかし、こちらを見て納得した。

マンガ動画制作会社は当然、客からの依頼で制作しているが、ここは自社でもチャンネルを持ってはいる。ただし、強いIP、知的財産権がない。だから、発信力が弱い。

「有閑喫茶あにまーれ」はVTuberというある種強いIP、知的財産権を持つが、それらを自社のみで広く展開する力はない。だから、発信力が弱い。

つまり、マンガ動画制作会社自身と「有閑喫茶あにまーれ」が手を組むことはお互いの弱点とする発信力を補って、win-win関係となる。

そして、この結果も数字でも出ている。

ただ、これはマンガ動画制作会社自身と「有閑喫茶あにまーれ」が手を組んだ結果である。他で同様なことをしても有利、不利は当然違ってくる。

■マンガ動画に失敗したDWU

次はマンガ動画でのある種、失敗例を語ろう。

先日のDWU騒動後に出てきたため、変な違和感はあった。ひとまず、そこは無視して、この動画で語られている赤字部分を軸に語ろう。

DWU騒動後の違和感から先の記事内でも語ったが、制作に安くもなく、収益も出にくいマンガ動画になぜ手を出したのか疑問があった。あの騒動抜きにしてもだ。

いや、「有閑喫茶あにまーれ」の例では成功しているから、DWUであっても赤字はおかしいと思う人もいるかもしれない。
これはそもそもケースが違うのだ。

このマンガ動画は外注への丸投げと語っている。事実、脚本内容を見てもDWUらしさはあるにせよ、魅力を出し切れていない。また、絵自体のクオリティもやっつけ仕事に感じてしまう。
そして、DWUの動画内でも語られている通り、VTuber業界でマンガ動画は流行っている、だからやってみた。

ある種、失敗したのは当然である。
ここが最大の間違いなのである。

本来、マンガ動画はアニメを作るほど手間やコストはかからないが、それでも決して安くない。そして、発信媒体もアニメの様なテレビ放送でもないから、収益性も確保もできない。

支出と収益を考えると正直な話、安易に手を出さない方がいい。

それでもVTuber業界でマンガ動画をする理由は「有閑喫茶あにまーれ」でも分かる様に発信力の強化であり、マンガ動画単体での収益を出すのが目的ではない。シナジー、相乗効果、また、別分野に手を出すことで新規顧客確保なのだ。

その結果、マンガ動画が多少の損失を出しても他で補う格好になれば、その損失は無視でき、収益と見なせる。

「にじさんじ」にしろ、「ホロライブ」にしろ、同様な理由でマンガ動画はやっている。この理由は他の記事でも語られているし、歴史的背景も調べると出てくる。
だから、説明を省いてざっくりと語れば、ある種、切り抜き動画を発展させた、公式が対価を払ってPR動画を作った形なのだ。

ただ、DWUの場合は単なる自身のコンテンツの延長でしかない。
動画内で語っているが、脚本を含めて丸投げで作られたモノ。だから、運営もDWUの演者も方向性を示してないから、出来上がるのは単なるマンガ動画でしかない。ゆえにDWUファン向けの動画でしかないのだ。
また、赤字を嘆いている点からもマンガ動画だけで対価を求めている。その背景を理解せずに手を出しているから、単にマンガ動画での赤字を失敗と見なしている。

もし、DWUがマンガ動画で成功をしたいとすれば、その交友関係からAV関係者やエロゲーなどをネタにして新規の視聴者を呼ぶ方向に持っていくのが正解である。
元々の売りにしていたディープウェブは一旦、捨てないといけない。(AVやエロゲーなど、これもディープウェブとはいえるが…)
そもそも、VTuberがマンガ動画をする背景を理解する所から始まるのだが…

■業界2大巨頭の狙いは

「にじさんじ」、「ホロライブ」のマンガ動画に関しては自社による内製なのだろう。ここは冒頭に語ったような流れはあるにせよ、積極的に人材を確保した結果である。

ちなみにアニメ制作会社タツノコプロは企画から撮影まで社内のみで完結する一貫した制作体制が整っていた。近年ではCygamesも同様だろう。

自社による内製で行うことは、多くの人員を抱えて人件費はかかるものの、結果としてはコストダウンを図れる等のメリットもある。中間マージンが無くなるからだ。また、社内だけで回せるため、打ち合わせ等の余計なやり取りも減らせる。

先にも似た事を語ったが、多くの人員を抱えることは人件費からも圧迫する。だが、ある部門では赤字を出しても、結果を収益を出すことができれば会社は許容できる。
当然、収益が出ないとこういった部門から削られていく。それは今のご時世でもどこの業界からもよく耳にする。逆にそういった人材を求めていた企業に向かう入れられる事もある。ただ、なかなかそう上手くはいかないが。

ともあれ、マンガ動画はVTuber側の都合じゃなくて企業側の都合で行われている。だから、個人勢となったDWUにはあまりメリットがなかった。

そして、マンガ動画のようなコンテンツ作りはコストがかかる。単発的なら外注でも問題はない。だが、数多く作るとなるとコストを抑えるにも内製であるが必要になる。

また、『奇想天外あにびっと!』の場合は恐らく、VTuberというIPを借りたコンテンツ作りだから、単なる外注案件ではない。だから、このケースはこれで成り立つ。

流行っているからと言って、VTuberが単にマンガ動画に手を出すのは得策ではない。きちんと流行っている背景を理解して、自身のコンテンツ作りにプラスとなるか理解すること、コストも加味して検討をする事は当然、行わないといけない点である。

だから、本来は投資に近い行動をしたのに、目先の利益にしか目が行かず、赤字だけを嘆く結果となる。
先のビジョンを持たず、行動する事はすべての結果を見誤る結果となる。

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