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ツカモト シュンのサブカル一人語り

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ツカモト シュンが勝手気ままに一人で語るコラム、雑記。 基本一つの作品をテキストにして、サブカルチャーに関して語っていくスタイル。
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#ライトノベル

「アーリャさん仕事のできない雪ノ下雪乃」との批判は、ラノベ読者からも劣化ラノベと認識されたか?

ロシデレを散々語ってきた身としては、アニメ版をどう語るべきかと考えていた。ただ、アニメになったことで多くの人間に作品を認知してもらう機会が多くなった一方で、一般層とのズレが目立っていた。 これは特にライトノベルではありがちな問題ではある。 ただ、『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』に関してはさらに違った。この点というのは、自分が今まで仮説として考えてきた部分の答えになるような話であった。このような考え方は、さすがに盲点であった。 今回はこの盲点と言える、ライ

『千歳くんはラムネ瓶のなか』のアニメ化で見えてくる課題とは

『アニメ版「艦これ」2期が2022年放送決定と聞いて【アップグレード版】』と関連する話題として、書いていたのですが、扱っている作品も違うため途中から切り分けて記載しています。 それもあり、こちらの記事も読んでいただければ、より理解できるかと思います。 ■「アニメ化企画」から「アニメ化決定」までの変移が分かる話 昨今、「アニメ化」以前に「アニメ化企画進行中」という前段階を報告する作品も多くなってきた。 それだけに「アニメ化」の発表であっても、昔より懐疑的なモノになってい

「『こちら、終末停滞委員会。』の解説」の感想を語るよ

『こちら、終末停滞委員会。』(著者:逢縁奇演 イラスト:荻pote)は発売前から内容で期待していた反面、これがライトノベル界隈に出たら波乱はあるだろうなと予測していた。 そこに関しては、前回でも触れていた話ではあります。 ただ、その私の予感は発売前から確信に変わることになってしまった。それが各作家による、この作品での推薦文である。 作品以前にこの推薦文からしてヤバい。そして、本作には後書きがなく、その代わり解説が乗っています。 これはネタバレのラインになるかは分かりま

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初動の成果をめぐるライトノベル ~話題性と出版社の呪い

一連のKADOKAWAサーバー停止を巡って、KADOKAWA系列の出版社のサイトもダウンしてしまい作家達もいろいろと大変の様である。 上記のポストにもあるように、芝宮青十氏は新人作家で今回が初書籍になるのだろうが、そんな何の背景もない人物の作品が自身で宣伝して、初動で売れるのだろうか? 売れる売れないは別にしても、初動の何を基準して今後を決めるだろうか? 私はいつも「初動が、初動が」という作家の発言に嫌悪していたが、冷静になって考えると今回の件は異質というか、それが明確

悪役令嬢モノ、18禁ゲームと語りながらありえない舞台となった作品達の謎? ~そうなった理由とは

ここ数年、悪役令嬢モノのアニメが多いが、その原型であるはずのゲームでの悪役令嬢モノはそうそう聞くことはない。 個人的には今後出てくるタイトルに気になるモノはあるが、ジャンルとしての悪役令嬢モノとは少し違ってはいるようだが。 さて、アニメ化されるほどの人気ジャンル、悪役令嬢モノではあるが、多くでその舞台となる悪役令嬢が出てくるゲームがほとんど無いという歪さ。 これは悪役令嬢が女性モノだから男性である私が知らないだけというのも考えられる。それゆえ、web小説では18禁ゲームを

「このライトノベルがすごい!2024」から見える、ラノベ多様性の欠如とは

私のnote投稿で例年の定番の「このライトノベルがすごい!」ではありますが、いつの間にか結果が出てきたので、その話題を。 そもそも、今年はTwitter現Xで動向が見てなかったというか、私自身がラノベ関係をXで注視してなかったのでTLで見かけることは少なかった。実際、結果に至っても見る機会もなかった。 一応はラノベレーベルはフォローはしているのですが。Xになっての影響でしょうか。 しかし、ランキングの結果を見る限りはそれも納得である。 ちなみにランキングに関してはゲーマー

「ブランド化されてないブランド力で商品展開」するライトノベル ~ゲーム雑誌の歴史から見える、今後の展開とは

■「ブランド化されてないブランド力で商品展開」する 『千歳くんはラムネ瓶のなか』の福井市コラボに関して、完成度の低さから突っ込み所満載だった。 何が一番変かというと、クリアファイルのこちらである。 目線、スマホの位置など構図を見ても変だが、一番変というよりも異質なのはブレザーを着ていること。 そう背景は花火と夏に対して、キャラクターはブレザーだけに冬服と季節が合っていない。それだけにジオラマアクリルスタンドも同様の問題を秘めている。“夏を感じさせるグッズの数々”と謳

ライトノベルのタイトルに「催眠」を入れる!? ~案の定、発売前から問題に

ご存じの方は知っている話だが、ここ数年、インターネットで特定のワードが伏せ字にされることがある。それが「催眠」「痴漢」「泥酔」といったワードである。 これらはAV、エロ関係に紐付けられることから伏せ字にされる流れがある。 もちろん、これよりも強い性描写を示すワードはこれ以前より避ける傾向があった。 センシティブな言葉に対して、昨今は「自主規制」からの危険回避が測られているのが現状である。特にクレジットカード会社は、成人向けコンテンツに対して強い態度を取っているからだ。 ま

【漫画レビュー】『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』 ~「透明な傑作」を体現したコミカライズ

以前から『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』に関して、触れてきたが今回コミカライズ版も単行本として出たので、これについて話していきたい。 『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』(漫画:手名町紗帆 原作:燦々SUN  キャラクター原案:ももこ)、このコミカライズは原作出版社であるKADOKAWAではなく、講談社から出版されている。ここを不思議に思う人もいるかもしれません。 そのため、この点にも触れながら、本コミカライズを見ていきたい。 先にこのコミカラ

今年のライトノベルに思うことを考えながら ~本年度の抱負の下地として

去年はnoteでの活動は、ライトノベル業界を主軸としていた。これに関しては自分でも振り返って考えないと理由というのが思い出せない物であった。 その理由というのは、様々な点から来ているのだが、一つは以前から語る、個人コンテンツがライトノベルから生まれない現状。そして、これと対となる業界の変化を感じさせる幾つかの出来事。 この出来事の中には、ライトノベルのイラストを描くイラストレーターがVTuber業界で幅広く活躍するようになった点もある。 これらの理由というのは、以前からの

「打ち切り」ではなく、作家のネームバリューが上がる可能性というお話 ~ラノベ打ち切り騒動

先日の『このライトノベルがすごい!2023』の発表で様々な点で大きな反響があった。 その一つに新作部門8位の作品が作者から打ち切られた報であろう。他の作品も打ち切られているが、詳細が語られている8位の方が話題性があったと思う。 ただし、これに関しては「打ち切り」というワードが先行しすぎて、ほとんどの人は大事な点を見過ごしている。下手をするとライトノベル作家も編集者もここを把握できていないかもしれない。 でなければ、この件は「打ち切り」よりも業界を壊しかねないことが書かれて

『くまクマ熊ベアー』TVアニメ2期で見えてきたモノ ~部数アップが切っ掛け?

■目に見えた、アニメ化効果 『くまクマ熊ベアー』という作品がTVアニメ2期の放送日が決定されたようで、少しびっくりとした。 この作品のアニメは原作から改変した1話を放送したことから、悪い意味で話題となっていた。まあ、自分はその話題だけを聞いていただけで、見てはいなかったが。 ともあれ、そんな悪評だけが先行してしまった作品のアニメが2期を作られる要因とは何かは思っていたが、その答えは先の記事、出版社が冒頭から出してきた情報にある。 そして、振り返ってアニメ1期の際での記

Vtuberとライトノベル作家の仕事における関連性を考えてみた ~SNS時代のクリエイターとしての接し方とは

つい昨日、気になるTweetを見つけた。 この内容で気になったのは、Vtuberに対する誹謗中傷ではない。それに関してはどうであれ、今に始まったことではない。確かに問題とすべき話だが、そう簡単な話でもない。 ともあれ、自分が気になったのは、このアカウントの人物はライトノベル作家であり、デビューから数年しかたっていない点。 確かにこの作家の作品はコミカライズもされているとはいえ、実績、知名度は乏しい作家に他業種から声がかかってくる点に興味を引いた。 別にこの作家を悪く言う

コスパ重視時代との対決 ~矛盾するライトノベル商業構図

先日の記事は割と反応はあったモノの、タイトルにある"矛盾するライトノベル商業構図"に関しては、ほとんど触れられていない状況であった。ここは反応だけの話だから、それが結果の全てでもないだろうが… 確かにこの反応にしても前回の記事は『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です』から見た話でやっている以上、多少は仕方がないと部分と自分も理解していた。また、その中で見えてきたことであり、考えは完全に纏まっていない部分もあった。 それで今回は改め、"矛盾するライトノベル商業構図"を軸にして