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美人いとことの番外編

叔母たちはさておき
誰にどう似たのか、美人に生まれた従姉妹
しかもおとなしい
そしてうらやましい。

マキシワンピを着こなす?いや
マキシワンピに着られるおばたちをよそに
※前記事ザルツブルク参照
白いTシャツ、デニムスカートにスニーカー
コーラを飲んでいても明らかに美人
おちゃらけ一家の唯一のわたしの自慢
私たちのウィーン、番外編

そんな彼女がウィーンのわたしの部屋で
トイレに閉じ込められた笑
親戚一同集まると話題にあがる
まだ上位を占めている、うらやましい

夏のウィーンは涼しいといえど
日中は太陽さえあれば厳しい暑さ、湿気ゼロ
夜はいつまでも明るいから
出かけるのは日が暮れてから、と
まるで慣れっこのような
おうち生活をするようになった。

クーラーはなくとも石造りのひんやりした部屋は
本当に快適な避暑地、そこで突如と消えた従姉妹

「あれ?マイコは?」
「どっか行ったんちゃーうん?」
行くわけない、慣れたと言っても
1週間もたたない旅先で
何も言わずにどっか行くかいな!

マイコ〜マイコ〜と。
そしたらトイレの中からノックする
トイレは次に入る人がノックするものなのに

大声だしてよ、こんな時くらい。
相変わらず大人しい。うらやましい。

どうやら内から鍵がかかってしまったらしく
開かない、どうやら。
わたしを含むおばさんたちは
鍵などかけないで用を足すから
こんな事態は初めてだった

「大家さんに電話してみる?」
いやいやいやいや、そう簡単に言いますけれど
私そんな、あんたら旅行者とたいして変わらない
ドイツ語初心者。
ましてや電話でなんて説明出来るわけがない
こうしろ、と教えてくれたとしても
聴き取れるわけがない

隣のおじさんに聞こう!とわたし。
隣のおじさんはなら連れてくれば説明いらず!
名案を思いついたらすぐ実行
おじさんは、わりと大きなおじさんは
ドスドスとすぐに来てくれて
周りを見回し、ワインの空瓶をみつけると
ゴンゴンゴンゴンドアを叩く
石の壁に木の扉なもんだから

これ壊したら礼金高なるん?と
聞きたい気持ちはあるけど
礼金のドイツ語なんて知るわけあるかい。

ガコンッ!と扉が開いた

何が言いたかったかというと
うらやましいくらい大人しいいとこのマイコは
「マジあせった〜」のひとこともなく
ニコリと笑って、いや微笑みながら出てきた。

20〜30分はトイレの神様になってたはずなのに
不思議でならなかった
こんなによく喋る、よく笑う一族にうまれて
どーして騒がないのか。
トイレに閉じ込められたんだよ?

20年たった今、その話をしても
大興奮して大笑いしているのは3人の叔母だけで
マイコはニコリと微笑んでいる

マイコが唯一自慢の孫だった死んだばーさんに
聞かせてやりたい。
おとなしいことが美しいとされた世代のばーさんに
「あんたの孫は異国の地でトイレに閉じ込めらても
ひとつも騒がずおとなしかったよ」と。

けっこーな騒ぎだったんだけどな。
トイレの外は。

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