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「MEN 同じ顔の男たち」レビュー 

 2022年11月29日(火):都立大学の宮台真司教授が襲撃事件に合い、私は尊敬する人のうちの一人であるので驚きと心配でいっぱいの中、何年ぶりかわからないくらい久しぶりに秋葉原駅に降りて。雨が少々降る中、秋葉原UDXの試写室へ。

 久しぶりに試写会に行ける機会を頂きました。Filmarksさんいつもお世話になっております。今回、観た作品は「MEN 同じ顔の男たち」アレックスガーランド監督、A24制作のホラーという映像制作からしたら間違いない作品である。あらすじは
  第75回カンヌ国際映画祭の“監督週間”で上映された、『ミッドサマー』を製作したA24が手がけるスリラー。夫の死を目撃した女性が、心の傷を癒すために訪れたイギリスの田舎町で恐怖体験をする。

 私がいつもホラー映画を観る時のマインドとしては、「これは作り物だ」「殺してるように見えるはずだ」と念じてから映画館に入る。今回もその傾向であったが、前半、その場面はなかなか来なかった。打って変わって後半は怒涛の血!裸!!何かが産まれる!!!の三本立ての畳み掛けであった。なんて言うか怖いというよりかは可笑しさの方が勝ってしまったのでめちゃくちゃホラー映画としてエンタメ的に楽しみたいという気持ちで行くと微妙な感じになってしまうと思ったのだ。

 そんな気持ちで観終えた。監督のトークショーが執り行われ、実はこういう監督の話を聞きに行くというのは初めての体験だった。司会は、いつも田中宗一郎さんのpodcast(pop life the podcast)にアシスタントで三原勇希さんがいつも聴いてるので個人的にちょっと嬉しい笑。ちなみに観てから半月の時間が経ってからレビューを書いているので監督の言っていたことはこちらの記事を参照にしながらいきます。

 こちらのインタビューでトークショーと同じことを言ってたので引用すると、「映画監督には二つのタイプがいます。一つは、映画についての映画を作るタイプ。多くの場合、10代の頃に好きだった映画をもとに作品を撮っていて、過去作をある意味リサイクルし続けているんです。もう一つは、自分の経験や、今の世界について思うことを題材にするタイプです。どちらが優れているというわけではありませんが、私自身は後者に属しています。」(ginzamagより)

 とあるように監督は現代社会で抱えるような課題点を意識しながら作っている。一見、「え?」「よくわからない」と言ったような観た人のレビューが散見していた。これはつまり監督の意図が伝わった一つの現れだと思った。

  その課題点とは「性差」「DV」と言ったキーワードが思い浮かぶだろう。内容に少し触れると主人公のハーパーが夫と喧嘩してそのまま夫が自殺してしまう。その原因は夫が妻のハーパーを殴ったが、しばらくしたらなぐさめるような典型的な「DV」であった。その後、喪失感を抱えつつハーパーは明らかに怪しそうな田舎の屋敷へ行くがそこで出会う人が明らかに変人や露出狂でかつすべて男だけで構成され、女性を所有物として扱っているようなシーン。また、女性蔑視のセリフの場面も描かれいた。そこは「性差」が描かれてる場面である。

 またこの映画の肝となる終盤の気持ち悪いシーンがやってくるのだがそのシーンはネタバレになるので書かないが、「至って当たり前のことなのになぜ人はそれに対して違和感を覚えてしまうのか」ということを問いかけるシーンであり、トークショーでも監督が触れていた。

  なるほど、このトークショーを通してまた映画の見方が変わった。自分が映画を好きになったきっかけが映画を通して何を言いたいのかという考察や意図がわかった時に映画というのが一気に面白くなった経験がある。このトークショーで観客と監督のコミュニケーションを取る時間は非常に有意義だった。

 なかなか観る人は限られるかもしれないが全国のTOHOシネマズで公開中なので年末に是非。

 

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