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【真】黒服物語〜金と女と欲望の世界〜14


仲野「お客様、、、、、、、、、、。」








仲野「大変申し訳ございませんでした!!!」



僕(えっ!?!?)



仲野「今回はこちら側の不手際でお客様に大変失礼な思いをさせてしまい心からのお詫びを申し上げます。改めて本当に申し訳ございませんでした。」


仲野の口から出た言葉は僕が思っていた言葉とは真逆のものであった。


客「お、おう俺が言ってた意味がわかるか?店長さんよ。俺が酒持ってこいって言ったら持ってくるんだよ?わかったか店長さんよぉ」



仲野「はい、お客様の言っている事はとても理解はできます。なのですがどう頑張っても今お客様が求めているお酒は手に入らないんです。もしどうしても飲みたいと言うならばまた後日お越し頂くしか方法はないんです。大変申し訳ないことに。」


仲野の腰はとても低く逆にこちら側が何か客に対して申し訳ないことをしたかのような表情と口調のままそう告げるのであった。


さっき見た冷たい目は何かの見間違いであったのかと思うくらいに困惑した目をしている。



客「何言ってんだよ店長、俺の言っている意味がわかってねぇのかよおい?俺は今の話をしてるんだよ今の話を。」



仲野「なるほど〜今の話ですか、、、。それならこちら側も今の話をさせて頂いても宜しいでしょうか?」


客「おう、なんだよ言ってみろよ今の話をよぉ。」


仲野「それでは、今の話をさせてもらうとですねお客様、、、、。」







そう告げた瞬間に僕が仲野の目をふと見た時にはあの冷たい目になっていた。












こんだけやりたい放題してまだそんな横柄な態度とれんのかこらおい、てめぇ店のもの勝手に好き放題して隣にいる女泣かせてよ人の店、人の場所で何勝手してんだよおい



金を使うのが1番の客だと思ってんのか?そんだけ威張り散らかして酒飲みてぇなら安い中華料理屋で焼酎のボトルでもおろしてなよクソ野郎


そんな横柄な飲み方するやつなんて今後一切うちの店の敷居跨いでもらんなくて結構だよ、おめぇの横についてる女はこの繁華街で1番の女なんだよ、その女の顔から涙流させて何してくれてんだよこら


一流企業のお偉いさんかもしれねぇけどそんな事しておてんとさんに顔向けできんのか?
自分とこの部下に顔向けできんのか?


酒に飲まれて人様に迷惑かけるくらいなら母ちゃんの乳首でも噛んで母ちゃんに怒られてろや、此処はどんなとこかわかってんの?発情した猿の溜まり場じゃねんだよクソやろう。













、、、、、、、、、、。












自分の頭の中ではこの様な感情的な言葉ばかりが出てくる仲野であったがそれを口に出す事はなかった。



(な〜〜〜んて事言いたくても言えねぇよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ〜〜〜〜。)


(今思った事なんて死んでも言えないから悔しいけどグッと心に堪えておこう、、、。)


(はぁ〜ここでこんな事本当に言えたら何処かの任侠映画みたいにかっこよくバチッと決まるんだろぉなぁ〜)




客に対して感情的になり何か物事を言うなど今のキャバクラ業界ではほとんどない。

一昔前ならば個室では取っ組み合いの喧嘩、メインホールでは何かしでかした客にドロップキックなどもあったのだが

今の世間でそんな事をしでかしたら逆にこちら側がとんでもない状況に追い込まれてしまう。


古き良きと言ったら良いのか今が良いのかはわからないが時代は変わりゆくもの


時代に乗り遅れた化石はどの世界にも必要のないものとされる。



仲野(はぁ〜しょうがない今回もお店側の対応するかぁ〜)


仲野「それでは今の話をさせてもらうと警察に連絡させてもらいますお客様。流石にこのようにされてしまっては僕ら側とお客様側でどうこう出来るレベルではないです。」


仲野「申し訳ないのですが本日に関してはお客様とこちら側のやり取りはここまでにさせてもらい後は警察が来てからの対応とさせて頂きます。」



客「け、警察って店長何言ってんだよ、それはまたおかしな話じゃねぇのか?」




仲野「いえ、全くおかしな話では御座いませんお客様。もうこうなった以上はお客様もお分かりの通りどうすることもできないんです僕らだけでは。」


仲野「わかってくれますよね?誠心誠意の対応をこちら側からもさせてもらいますのでお客様もどうか誠心誠意の対応お願い致します。それ次第ではこちら側も出来る部分はもちろんやりますので。わかりますよね?この意味。」


 
客「、、、、、、、、、。わかったよ。流石にこれは俺もやりすぎたかもしんねぇな」



仲野「ご理解頂けて助かります。後は警察が来るまでにお支払いの方だけよろしくお願い致します。」



客「ひな、ごめんな。」

ひな「、、、、、、。」




勘太郎(え、ん。どゆこと??警察??ご理解??誠心誠意??な、なに?どーなるのこれから??)



勘太郎は困惑していた。ついさっきまで緊迫して息すらできないような雰囲気が流れていたのに仲野が客と話をしたこの数分の間にもはや事は解決したかのような空気感になっていた。


やられたらやりかえす。

暴力には暴力を。



水商売のイメージとはそのようなイメージがありこれから目の前でどの様な事が行われるのかと背中一面に汗が滲み出ていたはずなのにそのイメージとは真逆の事が行われたのであった。

店長仲野は終始腰が低いまま、あくまでもお客様はお客様としての対応、一見側から見ると何かこちら側に非があるのではないかというくらいの対応であった。



客「店長よぉ、警察来るまでの間この部屋に俺1人にさせてくれねぇか?電話一本入れとかねぇと後でめんどくせぇからよ」



仲野「かしこまりました、それでは一度お客様だけにしますね、勘太郎!ひなさん!部屋出るよ!」



そう言い僕とひなと店長はその部屋を一度出るのであった。




部屋を出た瞬間泣きじゃくっていたひなの涙がすぐに止まり客から話しかけられても何も答えなかったひなが口を開ける。

 


ひな「店長〜ごめんねこんな事になって。あの客出禁にしていいからね。売上あの客の分違うとこで穴埋めするから大丈夫だからね!」




仲野「ごめんなぁ〜ひなさん、俺らもなんとか今まで以上にフリーにつけるからこちらこそ宜しく頼むよぉ〜」




(え、そんな軽い感じなの???これって大事件なんじゃないの???)




そんな事を思いながらもひなにも店長にも何も話しかけれずただ下を向きながら歩く勘太郎。




ひな「勘太郎?だっけ!ごめんね怖い思いさせて、、、。びっくりしたよね??」


急に話しかけられビックリすると言うよりも何故今話しかけると思う勘太郎。


僕「え、あ、は、はい!ひなさん大丈夫なんですか??なんかもっとあんなことされてブチキレるのかと思いました!!」




ひな「ふふふ、まぁ確かにぶちギレ案件ではあるけどさ、今回は飲まさせすぎちゃったのかとおもうし、口説きも相当キツかったからさあの客!そろそろ一旦切ろうかなとも思ってたし!!あんくらいでこんな感じになるなら遅かれ早かれ〜って感じかな!!」



僕「切る?遅かれ早かれ??」



ひな「あ、ごめんね!入ったばっかだからあんまわかんないか!笑まぁそのうち勘太郎君もわかる時がくるよぉ〜」



そう言い、小さくはにかんでいるひなに少しの恐怖を覚えた勘太郎であった。



仲野「あー忘れてた。警察来るって事はあいつくんじゃん、、、。めんどくさぁ〜、、、。」


そんな3人の前方から柿原副店長が小走りでやってくる。



柿原「ひなさ〜ん!仲野店長〜!勘太郎〜!大丈夫ですか!!!!?????」




仲野「あ〜柿原副店長ごめん、今それどころじゃなくて。大丈夫は大丈夫なんだけど警察呼んだからさ、またあいつ来るよあいつ、、、、。客暴れるよりクソめんどくせぇよあいつと話す方が、、、。」



柿原「あいつ、、、、、なるほど、、、桜田かぁ、、、、。」



次回、、、桜の代紋の申し子、、桜田登場、、、。


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