【真】黒服物語〜金と女と欲望の世界〜16
コンビニから買い物を終えた後、店に戻る勘太郎。
勘太郎「柿原副店長戻りましたよ〜!」
柿原「ありがとう勘太郎!ちなみに何だけどさ、外に結構人だかりできてたかな??」
勘太郎「はい、かなり人集まってましたよ〜!警察の車も救急車も止まってましたし野次馬は結構いました!」
柿原「だよね〜!了解だよ!」
(あ〜これはこれは同業の人達にはもう情報回ってるかな〜、、、。まぁしょうがないことかこればっかりは。お客さんにも女の子にもいわれまくるだろ〜な、、、。)
勘太郎はキッチンに行きお弁当を温める傍ら監視カメラを除き事情聴取が行われている個室をこっそりと覗き込む。
桜田、仲野、客の3人が話している。
さっきまで我こそが正義と言わんばかりに悪態を喚き散らかしていた客は背中を丸くさせ小さな小動物のように身を潜めている。
(、、、。)
メインホールに目を移すとひなが1人携帯をいじりながらポツンと1人でいる。
(あ、ひなさんだ、、、。なんか席で酒飲んじゃった後にあんなことになって正直顔合わせずらいんだよな、、バレないようにキッチンで身をひそめてよう、、、、。)
弁当があったまっていく様子を只ひたすらに何も考えずにぼーっと見ている勘太郎。
あ〜何やかんやこのバイト始めてから2週間か
なんか本当に1日って24時間なのかな?
毎日毎日昼と夜を働いて自分の自由な時間なんて睡眠時間の4時間しかないんだよな
友達と飲み行きたいな
女の子と遊びまくりたいな
昼の仕事も頑張らないとな
夜のアルバイトも頑張らないと
あ〜昼の仕事明日も朝から現場か〜
あそこの現場きついんだよな
まぁ適当にちゃっちゃか終わらせて昼飯なんか食べたいなぁ
昼飯何食べよっかな〜
てかそろそろ給料日か
それこそまさに女遊びしたいな
久々に風俗でも行こっかな
でも風俗行くくらいなら相席屋で女引っ掛けてお持ち帰りしたいな
てかその前に誰か誘うやついんの俺?
この街に来てから地元の奴誰もいねぇや笑
てか、なんか久々だなこんなに何も考えない時間あるの、、、。
何してんだろ俺、、、、。
金持ちになりてぇな、、、。
柿原「勘太郎!!お弁当あっためすぎ!!!」
僕「うわっ!!すみません!!!え、やば!!あつすぎかよ!!!」
ひな「何騒いでるの〜!ひなもまぜてよ〜!!」
柿原「ひなさん聞いて、なんか勘太郎が1人でポケーっと黄昏てんのこんな汚いキッチンで笑笑」
僕「た、黄昏てなんかないですよぉ!!」
ひな「勘太郎君大人ぶっちゃってる〜!!ププッ」
僕「ひなさんまでやめてくださいよ!!!」
柿原「勘太郎、このお弁当食べたら今日はもう帰りな!あとは俺と店長で片付けしとくから!あ、ひなさんのタクシーだけお弁当食べたら捕まえにいってね!」
僕「はい!わかりました!!」
ひな「わたし黒塗りのワンボックスのタクシーしか乗らないからそれ見つけるまで帰さないからね??」
僕「ひなさん、そんなタクシー海外でしか見た事ないですよ!!」
ひな「はい、その返し0点やり直し!!」
僕「流石に仕事終わりまでプロフェッショナルすぎますよひなさん、、、。」
ひな「冗談よ冗談笑。ほら、早くお弁当食べちゃいなさいよぉ〜!!イケメンタクシー運転手しか私は乗らないんだからね!!」
僕「もうお弁当食べることに集中させてくださいよぉ〜!!!」
ひな「笑笑」
柿原「笑笑」
長い長い1日が終わる。
コンビニ弁当を足早に胃の中に掻き込みタクシーを探しに外に出ると今日の始まりを告げる朝日が少しだけ顔を出し始めていた。
自分自身と朝日が照らし合わさる。
まだ何者でもなく、ただくだらない人生を過ごしてきた自分自身。
そんな勘太郎に少しずつ少しずつ心境の変化が現れてきていた。
誰に何を言われようと自分の人生は自分の人生。
だが、1人で何かをするには不自由すぎる世の中なことも間違いない。
1人で生きていけるほどこの世の中は簡単ではない。
人と人というこの世の中で1番難しく1番強いしがらみを避けては通れない。
人としての価値を見出すにはどれだけ社会に貢献できているのかどれだけ社会と関われているのかでより感じ取れる物なのだろうか。
ただこの世の中にはそんな社会と隔離して過ごしている人達もいる。
その人達を否定をするわけでもなく肯定するわけでもない。
自分自身がどうあるべきなのか、どうこの人生を全うするべきなのか。
そんな事を考えれるようになるのはまだ先の事なのだろうか。
ひたすら繰り返される自問自答に答えなど来るのだろうか。
「何も考えず今を楽しもう。」
そう少しだけ思い始めたアルバイト2週間目の朝であった、、、。
、、、、次回に続く。
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