「声優×芸人」 コント朗読劇の魅力


 声優が朗読して芸人がコントの台本を書くタイプのイベントが2回あって、それが両公演ともにとても楽しく、自分の周りでも好評だったので思ったことについて話したい。

 当方、声優田所あずさのファンで長年イベントに行ってる(当公演も彼女目当て)、しかしここ数年の声優界隈事情にはあまり明るくない。お笑いについては深夜のお笑い番組、深夜ラジオが好きだが、ライブに行ったり個人を応援してるタイプではない。ざっくりだが、自己紹介はこんな感じだ。

1.CONTELLING

 2019年の12月に2日間、ソニー・ミュージックエンタテイメントとホリプロインターナショナルの共同企画でおこなわれたCONTELLING(第1回公演)は、今をときめく「さらば青春の光」の森田が脚本と演出をすべておこない、出役は5人の男女実力派声優が務める。
 最初は初めて見る形の公演に、期待と不安が7:3で会場に入場した。実際に公演が終わっての満足度は圧巻の150%、笑い疲れと興奮の余韻を残したままオタク仲間と会場を後にした。純粋な脚本の力と、各々の演技力、ファンとして一度の公演で色んなタイプの役を演じている姿を生で見れる事、この要素だけで100%満足だ。残りの50%は相乗効果、相性の良さだ。
 さらばのコントの魅力は日常生活の中の違和感(ズレ)だと思っていて、平場の芸風とは違って中々に文学的だ。それがプロの演技で、登場人物のもつ可笑しさや世間の可笑しさが、より繊細にかつ大胆に浮かび上がってくる、それも声で。計8本のオムニバス形式はまるで、短篇小説が脳内に直接流れ込んでくるような印象を受けた。コントの自由度をより広げ、朗読劇のエンタメ度を大幅に上げた画期的なイベントだった。

2.WARAI-GOE

 2021年11月に7日間、田所とラジオで共演もしているオタク芸人「天津」の向主催の公演。脚本は全部で7本(うち3本が向)1日2公演で1公演につき3本の上演。出役も日替わりで、女性声優20人と芸人11組が出演するという形になっている。自分は田所の出演する千秋楽の昼夜に参加した。こうやって並べると違いがはっきりしてて面白い。会場の関係もあって、かなり小劇団感が強くて、その点もとても好みだった。芸人と声優の普段中々ない演技での掛け合いが楽しめた点も良い。
 脚本は「しずる」村上、「ライス」田所が特に抜群だった、流石だ。しずるは”邦画感”強めのテイストが、朗読劇にぴったりでかなり惹きこまれた、バンド名や本のタイトルといった小道具の"っぽさ"も抜群でにやにや。ライスはSF(すこしふしぎ)チックなコントで人物のキャラを立てるのが上手な印象だった、田所の演じた主役のやさぐれ女の子が、とても愛しい。あと笑いどころを作るのも上手で、お笑いライブ慣れしてない身としては助かった(笑)観劇の楽しさを思い出させ、異種格闘技によるお祭り感と各々の完成度を両立させたワクワクが止まらないイベントだった。
(強いて言うと、これは完全に好き嫌いの問題ではあるとは思うが、キャストに無茶振りを振るのがメインの脚本は、食傷気味のアニメ系イベントを思い出してしまい、笑いは多かったが正直ここにぶち込むべきなのかは疑問が残った。向がオタクゆえのオタクサービスだと思うが、あの人の優しさが自分にとっては少し裏目にでてしまった。)

おわりに

 朗読劇は元々とても好きなコンテンツだ。お笑い芸人とコラボしコント朗読劇になっても、魅力は残したまま新しい化学反応が起こっている。双方の魅力が伝わり易く、間口が広がる理想的なコンテンツミックスだと感じた。アニメイベントのゲームコーナーに飽きたオタクも、芸人の出待ちに疲れた人も。推しの演技に、脚本に、才能にもう一度惚れ直すキッカケに。自分のエンタメの視野を広げに、そして新しいコンテンツが進化し、広がっていくさまを体感しに、一度コント朗読劇に参加してみて欲しい。


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