T(私)の小学生時代②

私は、目立つことが好きではなかった。

理由は二つ。
子供タレントという肩書を学年の大体の人間が知っていたから、好奇の目を向けられることが多くなり、それが耐え難かったこと。
そして、自覚こそしていなかったが、子役としての自分に自信が無かったこと。

というか、何に対しても自信が無かった。運動能力は平々凡々、勉強能力は平々凡々……より、若干下だったかもしれない。容姿は悪い方とは思っていいないくらいには己惚れていたが、ずば抜けていいとも言えないことくらいは理解していた。

半端な自分へのコンプレックス。
それが変わり始めたのは、多分、小学四年生くらいの時だ。

切っ掛けは、体育の時間の50m走だったか100m走で足の速さを競った時だ。
成長期というやつだろうか。特に何かに力を注いだ訳でもないのに、私の足はどんどん速くなり始め、学年で二番目に足が速くなった。

それからの体育祭では毎年リレーの選手に選ばれるようになった。
当然、私は目立つようになった。今まで関わりの無かったカーストの者たちとも仲良くなった。けれど、目立つことが苦ではなかった。

要は、調子に乗ったのだ。何もなかった自分に、自信が持てるようになった。
こうして書いていて思うのは、私の根本は昔から変わっていないということだ。

自分が自信を持ってやれることが、私の心を最も安定させる行為なのだろう。

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