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児玉雨子「コットンキャンディ・イン・デッド」

今風な話。それと自覚もないのに、なんやかやリボ払いで買い込み、三百万近く借金をこさえた女の子が、YouTubeで「借金返済系配信者小枝ちゃん」と名乗り、配信を始める。まんじゅうラーメン食ったり雑草食ったりの「貧乏飯」など配信するが、他の面白コンテンツがイマイチ見えない。それでも三十万とかいく。まさに濡れ手に粟。しかし、そのうち身バレしそうになったり、動画撮りが結構大変で、これなら普通に勤めた方がいいんじゃね、みたいな感じで主人公が追い詰められていく。コットンキャンディは綿飴のことで、すぐに溶けちゃうお金の暗喩らしい。キャッシュレス社会になって数字だけのやり取りだと、お金の実感湧かないから、ただの数字みたいになるよねえ。現金感覚大事だわ。
しかし、YouTuberさんのおふざけ系というかやってみた系の動画たまに観るけど、よくやるよねえ、としか感想出ませんな。昔の「電波少年」ネタを素人さんが頑張ってやってるって感じで。イタイ感満載です。私はあんま笑えないからあんま見ないけど。
こういう現代風俗(あっちの風俗じゃないよ)描いたもんも、興味本位ですらすら読めるけど、そこ止まりな気がする。この量の十倍あったら、ホラーになって、価値観崩壊が尋常なく進んで、自我も崩壊、人間性も崩壊、社会も崩壊みたくなって、地獄絵図になる。そうなったら、小説としても十倍楽しめそう。

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