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【昭和歌謡名曲集30】だまって俺について来い クレージー・キャッツ

作詞、青島幸男。
青島幸男というと、都知事時代の魂が抜けたような、寂しげな顔を思い出す。
知事になる前までの大活躍はご承知の通り。え、知らない?
放送作家に始まり、タレント、司会者、作詞家、作家、俳優、映画監督、歌手、そして立候補資格年齢になると、参議院議員当選。テレビの政見放送はこの人キッカケで始まった。国会では、佐藤総理を男妾と呼ぶなど、胸のすくような質問で庶民の喝采を浴びる。その後、参議院議員を辞めて都知事選に立候補、都市博中止を訴え、自民党公認の石原さん(慎太郎ではない)を破ってトップ当選。議会の議決に反して、公約を守り都市博を中止した。
が、ここで終わった。
「青島は敵にすると怖いが、味方にすると頼りない」
と、言った人がいるとか。批判、追及の側にいた時は、誠にカッコイイ時代のヒーローであったが、守る側作る側批判を受ける側になると、途端に精彩を失った。都市博中止の後の都政では、いるんだかいないんだか分からないような存在感だった。都知事選二期目には出馬しなかった。参議院に再び出たが落選した。もう人を惹きつける魅力はなかった。
確かに、才人だった。それもとびきりの。でも、その才能は批判批評皮肉茶化し無責任の才能だったと思う。責任ある立場になった時、途端に借りてきた猫となった。
行くべきではなかったと思う。でも、行かざるをえなかったとも思う。野党の立場に居続けて文句だけ言うのは、その立場を守る与党と変わらないから。
頭のいい青島さんは、それに気づいてたんだろう。そして、批判を受ける側に立った時、自分の才能はこちら側にはないんだなあ、と悟ったのかもしれない。あの都知事時代の4年間の、ただ何かに耐えているような寂しげな顔は、それを物語っているように見えた。


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