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【昭和歌謡名曲集45】自転車に乗って 高田渡

フォーク界の古今亭志ん生、高田渡の名曲である。
志ん生は晩年滑舌が悪く、時に何を言っているかわからない時もあったが、古典落語なんか、みんな筋を知って寄席に来ているので、客は気にしない。志ん生が、そこに座って喋ってるだけで、いいのである。可笑しいのである。酒が好きな志ん生は、酔っ払って高座に上がり、落語の途中で寝ちゃったことがあるそうだ。あれ、とざわつく客席で、1人の客が叫んだそうな。
「いいから、寝かしといてやんな!」
寄席の客は笑って、志ん生が起きるまで、待ってたそうだ。文楽が、高座で喋りに詰まって、勉強して参ります、との言葉を残して引退したのとは好対照である。志ん生も名人、文楽も名人であった。
で、高田渡であるが、彼もお酒が好きで、酔っ払ってステージに上がること度々であった。そして、志ん生じゃないが、歌ってる途中、寝ちゃうのである。でも、寝ても大丈夫。いや、寝ちゃった方が、渡さんらしいや、とみんなニコニコで待ってたという。
若い時も、「自衛隊に入ろう」は反戦歌なのに、自衛隊募集に歌を使わせてもらえないか、などと打診されたとか、伝説に事欠かない。
晩年は、全く志ん生で、ただそこに生きて歌ってくれるだけでいいみたいな、人間国宝的な存在になってました。
でも、歌は相変わらず飄々としてて、心に沁みるんですなぁ、これが。なんてことない歌詞なのにね。いいんですわ。いい。わかりますかね、この味。わかるよね。

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