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【昭和歌謡名曲集10】ドンファン 神田広美
1978年、神田広美。いい歌なのにそこそこしか売れなかった。大変残念である。
作詞松本隆 作曲吉田拓郎。
拓郎は、専門の作曲家以外が、他の歌手に曲を提供する走りであった。
以下、あげてみる。
「襟裳岬」作詞岡本おさみ
森進一がレコード大賞を取った時、作曲家としてステージに上がって表彰を受けた。その時、ジーパン、ジーシャツ、おまけに長髪で、うちの母親が眉をひそめて「誰ね?」と冷たく言い放ったことを忘れない。
「ルームライト」
作詞 岡本おさみ
歌 由紀さおり
「歌ってよ夕日の歌を」
作詞 岡本おさみ
歌 ざわわの人。
「我が良き友よ」
作詞 吉田拓郎
歌 ムッシュ。
「たどりついたらいつも雨ふり」
歌詞 吉田拓郎
歌 夜明けの刑事の太った人。
「メランコリー」
歌詞 喜多條忠
歌 座って歌う人。
「アン・ドウ・トロワ」
歌詞 喜多條忠
歌 キャンディーズ
枚挙にいとまがない。どれも作曲吉田拓郎。心に残る曲である。
が、「ドンファン」はそこそこしか売れなかった。曲はそんなに悪くない。むしろいい。
神田広美は伸びやかな歌声で、長いフレーズを少ない音符に無理やり詰め込む拓郎節を、よく歌い切っている。
なぜだろう。なぜ売れなかった。
そこで、今回まじまじ歌詞を辿りながら聞いてみた。この歌は、ドンファンを女性の側から見た歌である。
女が男に優しくされて引っ掛けられて、結局遊ばれて捨てられる。しかも、どこかその男を許しているようなニュアンスさえ感じられる。
ホストに貢ぐ女のような歌であった。
いくら曲が良くても、これでは売れないなぁ。
女性が「この歌いいわね」とは言えば「お前、大丈夫か」だし、男がこの歌いいねえ、なんて言おうものなら、女性からは総スカン間違いなしだ。
流石の名作詞家松本隆も見誤ったかな。この歌には男からの愛がない。まぁ、ドンファンだからな。
同様の趣向に、キャンディーズの「優しい悪魔」がある。
歌詞は喜多條忠である。ただし、こちらは「男が私を虜にする優しい悪魔だ」というところで止まっている。悪魔の悪辣な所業は書いてない。どこかファンタジーめいてもいる。さすが喜多條さん、女心をよく研究してらっしゃる。
しかし、あの歌のキャンディーズの衣装はけしからん!
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