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いかなる状況でも「授業」ができるようになった頼もしい学生たち|2022女子商×とびゼミコラボ授業⑤

ほんと日々の経過が早い!あっという間に12月後半戦になりました。今年もあと半月。

15日、4年生は無事に卒論を提出しましたが、明けて16日は女子商との「高大連携アントレ教育プログラム」の最終回。最終回は女子商に集まって…。と思いきや、高校であの流行病が流行する兆しが出たこともあって、同校では火曜日よりオンライン授業に切り替え。

それもあって高校からはリスケをご提案頂きましたが、大学と高校のスケジュールがうまく合わず、こちらから打診した「オンライン授業」で実施することになりました。

しかし、決定後もトラブルだらけ。が、そこは複数の高校で授業をし、オンオフの切り替えを行うことにすっかり慣れてしまった3年生中心に落ち着いて対応を取ることができました。

ということで対面だったはずの授業がオンラインに切り替わって学生たちはどんなことを感じたのでしょうか。教室に来ていた学生の様子を伺いながら、2022年度最終回の女子商とのコラボ授業の様子をお届けします。

なお、今年度の女子商での授業の様子はこちらからお読みください。

急遽対応を迫られた学生たち:初めてのオンライン授業

ひょんなことから始めざるを得なかったオンライン授業。現在の3-4年生は学生生活の貴重な1年半をコロナ禍の中で過ごしてた。4年生はゼミ立ち上げ期の2年次で,3年生は入学するや否やオンライン授業からスタートということで,受講者側としてオンライン授業を受講することは慣れている。

それが今回は立場が変わって自ら授業することに。火曜日の段階で明らかになったが,火曜日は壱岐商業の授業をし,その後は今日の授業のための事前動画作成もあったため,十分に動作チェックをする時間を取ることができなかった。しかも,高校側から授業で使用するオンラインツールが提供されるものの,事前チェックをしたところ,ホストが承認設定をしなければならないことがわかり,急遽代替案を練る必要に迫られることに。これが16日の午前中の話。

トラブルありながらも授業がスタート

そんな状況でも,クラスリーダーとメンバーの間の関係性が良くできあがっていたこともあって対応策が決まればあっという間に準備が終わる。授業開始は13:50だが,女子商で授業を行う際と同じように13:00にオンラインで集合して打ち合わせ。この間はゼミでも繰り返しやっていることだからスムーズではある。ただ、いつもと異なるアプリケーションを使うこともあって繰り返しチェックをしていた。

高校生に語りかけるようにふりかえりのサポートを

しかし,トラブルはつきもの。音声が出ない,スライドがうまく共有できないという問題が発生。大学の講義だと対応するのは自分自身のみだが,今回はクラスごとにゼミ生が散らばっており,なんとか対応して授業が進む。

これまでの授業のふりかえり/これ使ってアントレ教えるんだ(笑)

今回の授業は、これまでの授業で学んできたことをもとに女子商マルシェという販売実践を通じて何を学ぶことができたのかがテーマ。またそれをもとに今後の目標を定めてどのような学校生活を送ろうかと考える機会にしようと。

組織って何かも学びました

授業の構成は、①アントレプレナーシップとコレクティブ・ジーニアス(集合天才)で「一歩踏み出す勇気」と「組織的に成果導く」ことの意義を教え、②企業には理念→戦略→計画があり、マネジメントという概念を教え、③異なる志向性を持つ個人の能力を発揮する環境をいかに整備し、組織的に活動する環境づくりとしてマネジメント・コントロール・システム(Management Control System:MCS)を教え、④経営理念の実現と付加価値の最大化を戦略的に実現する計画を貨幣的価値で表現して、成果を測定する会計=ゼミで「会計思考」と呼ぶものから構成されている。

今日のふりかえりは、それを高校生がどれだけ理解できて実践できたのかを確認する場でもあるし、大学生自身が高校生の話を聞くことによって自分たちの1年間の学びの成果をふりかえる場でもある。だから、高校生が話してくれないと授業が始まらないのだけれども…。

ここにオンライン授業の難しさが立ちはだかる。いつものように席が近い人同士で担当している学生との関連付けがしやすい状況で授業を行うのではなく、出席番号で機械的に振り分けられてしまうと途端に人間関係の構築からやり始めなければならなくなる。それで高校生も「籠城」してしまう。

そんな難しさもありつつ、1時間目は無事終了。

高校生が語る講義と実践の行き来:マルシェから学んだことはなにか

さて、続いて2コマ目。

これまでの授業の復習から、さらにふりかえりを通じて深掘りを進めていく。議論の内容をあらかじめ提示して、これに従ってスプレッドシートに書き込んでいくスタイル。

過去4回の授業での学びをマルシェで活かせたか?

学生にとってオンラインで授業をするのはもちろん初めてだし、生徒の興味関心を惹くのはなかなか難しいのだと実感。画面をオンにして一生懸命ふりかえりを話してくれる生徒さんや、それまで授業になると遊んでしまって集中力を欠くクラスでは自宅に戻ればしっかり取り組む生徒もいたりと、オンラインとオフラインでも生徒の動きが変化するという報告を受けて面白いものだなと改めて感心。

これまで女子商マルシェでは、クラスごとあるいはクラスを2分割してそれぞれ担当企業・商店を持つという形で進めてきた。これを今年度からは(正確ではないが)生徒の希望を反映させる形で1年生から3年生で1つの店舗を担当することになった。

そういうこともあって、学年ごとでもマルシェの受け止め方、見え方も違っていたようだ。

あるクラスのふりかえりシート

特に3年生だと、店舗運営やイベントそのものの運営リーダーになっていることが多いこともあって、ふりかえりをするとそれぞれの場面で「コラボ授業」で学んだことと起きた事象が繋がっていることを実感できたという声もあったようだ。

これが下級生だと飲み込みが早くて立場はマネジメントでなくてに起きている事象を見て関連付けができている生徒もいれば、何をどう言葉で表現すれば良いのか見えてこない生徒もいたりしたよう。

さすがに高校1年生で授業内容を全て理解するのは難しいし、必ずしもそこは求めていない。特に1-2年生は進学クラスであり、3年間の授業の中で少しずつ浸透すれば良いし、とにかく学校で学んでいることと日々の生活が繋がっていることを理解して、関連付けできるようになっていけば良いくらいに考えている。

詰め込みで学ぶのではなく、じわりじわりと浸透させるようなイメージで。

ふりかえり

こうして女子商での全5回の授業が終了。今年もあっという間に終わった。

ただ昨年までと異なるのは、壱岐商業や飯塚高校での授業を通じて授業を何度も設計し、実施し、そのたびにふりかえりをしてきた核となる学生層ができあがっていたこともあり、元来の4年生が3年生を教えるという関係だけでないさまざまな「経験知」がゼミ内で共有されることになったということ。

これはとても大きくて、これまでは女子商の中だけで授業の内容や成果の評価を行ってきたものが、他の高校でのそれを踏まえて準備や授業ができるものだから、ふりかえりのレベルも上がる。

しかも、担当クラス増(7クラス)に伴い、1クラスの担当人員が4-5人になったこともあって、学生が時間をやり過ごすフリーライドがいなくなったことも挙げられる。教える側のテンションは生徒に伝播する。学生の真面目さももちろんあるが、年々質が高まっている手応えはある。

過去3年間築いてきた土台を基礎に、少しずつ手を入れながらレベルを上げてこれたのは、これまでのOBOGはもちろん、現役学生がこの学びの機会を自分のものにしようと努力していることによる。

最後はゼミ3-4年生中心に記念写真

また、(入れ替わりをしながら)2年生も参加してくれることによって、少しだけ早く先輩たちがどんなことをしているのかを知ることができる。こうしてメチャクチャなプログラムを「ゼミで取り組んでいくんだ」という意思が醸成されているのかもしれない。

何より、今年はコラボ授業OGである1年生が講師役としてついに参加したという記念すべき年にもなった。彼女曰く「高校生の時に授業を受けて全部理解できたわけではなかったけど、今年初めて授業する側で先輩たちと一緒に活動してみて、何を学んできたのか、どう関連付けされているのかがわかるようになった」と。そう。実は大学生が一番勉強していることが伝わればOKなのですよ。はい。

最後がオンラインとなり、高校生と別れを惜しむことはできなかったのは残念だが、またじっくりと今年のふりかえりを行いつつ、来年度はさらにパワーアップした授業が提供できるようにしていきたい。と言いつつ、学生の負担が大き過ぎるので、これをどう減らしていくかが一番の課題でもある。ただいま仕込み中。

さあ、これで今年度の高大連携は来週火曜日に壱岐商業の授業を残すのみに。長かった1年がまもなく終わろうとしている。早かった…。

余談

先日、2校目の調査を実施し、その結果を分析し始めている。やはり学校ごとに得られる成果は違うということなのだろうか。ふりかえりで聞いていた話とはちょっと違う反応な気もする。ある種の闇を見てしまった気もするなぁ…。年末年始で分析かけてみることにします。

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