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Netflix社のコンテンツ価値採点がリークされる

 2021年10月、『デイヴ・シャペルのこれでお開き』におけるトランスジェンダー関連発言を主とした騒動で揺れるNetflixなのですが……

 ストライキを計画したトランスジェンダーの社員を解雇したそうなのですが、会社側の言い分は情報漏洩。自分は渦中のシャペルの番組をまだ観ていないこともあり、本題からズレるのですが、このリークされた情報、数字事情で結構興味深いです。

 いわく、Netflixが『デイヴ・シャペルのこれでお開き』に支払った額は2,410万ドル、前作『デイヴ・シャペルのどこ吹く風』は2,360万ドル。比較としては、同じコメディアンである『ボー・バーナムの明けても暮れても巣ごもり』の場合390万ドル。サプライズなメガヒットとなった韓国ドラマ『イカゲーム』は全9話で2,140万ドルとか。

 ここまでは「ネームバリューあるビッグスターに大金を払うNetflix」として既知な感じですが、よりディープなのは、Netflix社内の価値測定の数字もリークされていること。

 前述『デイヴ・シャペルのどこ吹く風』は2,360万ドル支払われながら「インパクトバリュー」は1,940万ドルにとどまっており、同社のリーチと価格バランスをはかる「効率性(efficiency)」指標では0.8点。損益分岐点となる1点を下回っていたというのです。とはいえ、採算がとれなかったわけではなく、今回の騒動でリード・ヘイスティングス共同CEOが絶賛したようにコメディアンショーとしては一番人気であり、さらにエミー賞、グラミー賞と権威あるアワードも獲得しています。だからこそヘイスティングスは「今後も彼と仕事をしていく」「なによりお客様に望まれていることが大事」みたいな声明を出したんだと思いますが。

 あと、個人の体感として『どこ吹く風』0.8点って納得できます。スタンダップコメディショーの制作費が低かったとしても、とにかく大物スターとの契約料は高いという。

 Netflix社内の「効率性」指標って2019年に以下記事で触れたんですけど、具体的にリークされるのレアな気がします。前出『イカゲーム』が史上最大ヒットだと発表して話題を巻き起こした同社ですが、視聴数なんかのカウント方法を変えたりしてるので信用しづらく、もはやこの「効率性」出してくれたほうがわかりやすそう(無茶振り)。

 ついでに、2019年に書いた↑記事なのですが、Netflixの「クリエイティブな実験場」といったブランドイメージが変化する流れって箇所は当たったかなと思います。IP覇権Disney Plusや品質売りHBO Maxがのびた結果「映像コンテンツのウォルマート」と呼ばれる最大手ポジションになったので。成り行き的に自然だし、悪いことじゃないと思いますが。


よろこびます