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オリヴィア・ロドリゴの官邸ファッションは政治脱臭とスーパーフェミニン

 出す曲出す曲モンスターヒットな2003年18歳、オリヴィア・ロドリゴがホワイトハウスを訪問し、若年層向けにワクチン摂取を啓蒙したのですが。注目されたのはピンクピンクなファッション。

 Y2Kキューティ映画旋風の担い手として1990sヴィンテージのシャネルスーツとプラットフォームシューズ、加えてイマ風なスモールバッグで若々しさ十分、反して一般的な官邸訪問スタイルとはズレたポップさなわけですが。

スタイリスト取材を読むと、アメリカの政治家と同じく、パワーゲームなファッション戦略でなかなか面白い。まず留意されたのは、ワクチン啓蒙ということもあり「政治性の脱臭」とも言えるリファレンス想起回避。たとえばピンクのシャネルスーツなら一番にジャクリーン・ケネディが挙がるわけですが、このY2Kポップネスならそれが避けられる。加えて重要なのはカラーで、民主党がシンボルとする青、共和党の赤、どちらも除外(一方、同年ホワイトハウスを訪問したミーガン・ラピノーはしっかりDemocratな青を着用している)。Y2Kキューティ旋風を象徴する『クルーレス』など有名ポップカルチャー参照も避けたそうです。

 加えて、カール・ラガーフェルドのパワースーツ、ジュゼッペ・ザノッティのプラットフォームを合わせながら学生っぽい黒の靴下を入れることで、セクシーさを減退させ若々しきスタイルに仕上げています。全アイテム流行中ですが、こうした「色気を抜く普通のティーン女子っぽさ」がファッションアイコンとしてのロドリゴらしさでしょうか。

 ちなみに、今回オリヴィアが着用した1995年時のChanelは、まさにY2Kの基盤をなすセクシーでキュートなグレイトネス・コレクション。当時のNYTレビューがはからずも良いです。

成功ではなく、ロマンスのために着飾ったほうがいいんじゃないか? このショーはそう尋ねてくる。こうした言い分を始めたのはラガーフェルド氏ではないが、彼の言葉には、最大規模の商業的影響力が備わっている。「女性にとって、セックスは力だ。フェミニティを押さえつけるのではなく、誇示することで、女性は男性に勝利を飾ることができる。それなのになぜ……抗おうとするんだ?」

 この「」内の言葉は、最近だとデュア・リパやカイリー・ジェンナーがやってる、パリス・ヒルトンやクリスティーナ・アギレラ参照のハイパーセクシュアライズY2Kの魅力と哲学を言い当ててる気がします。しかしながら、今現在だと「成功ではなくロマンスのために」といった表現はつかないでしょう。世間はともかく、あくまでもUSポップカルチャーにおいては、こうしたセクシーでキュートなフェミニンファッション愛をキープしながらキャリアも築く、アリアナ・グランデ的な方向性に入っているわけです……ホワイトハウスだけに。

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