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VaporwaveとFutureFunkは別のもの

 泰葉「フライディ・チャイナタウン」海外人気と、それを促進するFuture Funkの記事を書いたのですが↓

 関連アーティストの取材を読んでると「(源流とされる)VaporwaveとFuture Funkの違い」の話題が散見されました。NightTempoなんかは「実際は違う音楽なんです」と念押ししてます。Vaporwaveってデザインや美学としてNikeやアリアナ・グランデ規模のメインストリームに拡がったので、一緒くたにされること多いのかもしれません。
 簡単に言うと、サウンドとしては、インターネットから生まれたジャンルVaporwaveは実験音楽っぽく、そのコミュニティ近隣から派生していったFutureFunkは明るくて踊れる、って意見が多いです。

Vaporwaveの曲 (記事でも紹介したVektroid

Future Funkの曲 (記事で紹介した『フライディ・チャイナタウン』海外普及につながったaestsのamv)

 まず、わかりやすいのが「クラシック作曲家Hayley MendozaがFutureFunkを説明する」記事。

「Future Funkとは、ファンクやディスコ、邦楽などを用いてノスタルジックに仕上げる音楽ジャンルです。とてもアップビートでファンキー。90年代日本アニメや消費文化とつながりが深いです。無名(obscure
)な古いジャパニーズ・ポップソングを128BPMにリミックスしたディスコ風エレクトロであることが多い」
「Vaporwaveは、悲しく、切なく、スロウな親戚ジャンルですが、FureFunkと同様、またはそれ以上にノスタルジックです」

https://www.theprospectordaily.com/2019/11/12/marching-band-student-and-classical-composer-explains-future-funk/

 日本においては"obscure"率低いですが……。
 つづいてFuture Funkのパイオニア、マクロスMACROSS 82-99の意見。

単純にVaporwaveよりもFuture Funkの方が踊れてハッピーなサウンドだよね。だからこそ、Future Funkの音楽は急激にポピュラーになったんじゃないかな。難解だったり悲しい曲を聴くよりも、踊れて楽しい方が誰でもいいよね

https://spincoaster.com/interview-macross-82-99

 このFutureFunkは「難しくなくて踊れて楽しい」って、簡単な話だけど結構重要だなと。前出NIghtTempoの説明を読んでも、Vaporwaveのほうが難解で、ある種の批評性が要である印象を受けます。

ーNight Tempoさん自身は、Vaporwaveからどんな影響を受けましたか?
Night Tempo:既存の音楽をサンプリングして、遅くしたり、ねじ曲げたり、自由に加工してユニークな表現をするところですね。そこに風刺的なメッセージを込めるのがVaporwaveの特徴ですが、Future Funkはもう少しポップな感じで。

https://www.herenow.city/seoul/article/night-tempo/

Vaporwaveは既存の作品をコピーしたりエディットしているんですけど、それをどう使うかによってただのコピーか全く新しい文化になるかが分けられます。その文化に対していかに真剣に向き合っているかによって、Vaporwaveの世界観が変わると思います。僕は古いものを今の時代に生きている人たちが聴けるようにしたい。

https://qetic.jp/interview/night-tempo/314289/

 今度は、Vaporwave寄りとされるシンガポール在住アーティストJerry Galeriesによる見解です。

(ヴェイパーウェイヴは) シンガポールにはないカルチャーだと思う。シティ・ポップは人気だよ。カジュアルなリスナーは、もっと情熱的なソングライティングに注意を向けるね。最初の30秒でフックがなければ誰も興味を示さないし、4分以上は集中力が保てない。その点、ヴェイパーウェイヴはかなり厳しくて、シンガポールで受け入れられる見込みはないと思う

https://tabi-labo.com/289004/vw-jerry-galeries

 代表曲を聴けばわかると思うのですが、こうした違いにより、実験的なVaporwaveよりも、ポップでディスコなFuturFunkのほうがライト層にまで波及しやすい状況になってるのかなと。
 シティポップ受容の観点でも、Kompass対談記事では「ミレニアル世代のオタク文化からZ世代のライト層」への変換が語られています。

柴崎:こうやっていろいろ資料を見ながら考えてみると、YouTube経由の“プラスティック・ラブ”の人気と、TikTok経由の“真夜中のドア”のバズって、それが巻き起こった時期や広がり方からして、前者はミレニアル世代中心のナードな層が主導していたのに対し、後者はZ世代中心のもう少しライトな層が主導している、と理解できそうですね。

https://kompass.cinra.net/article/202107-citypop2_ymmts

 そのまま「Vaporwaveはミレニアル世代のオタク中心」「FutureFunkはZ世代のライト層に波及した」状況と言える……のかもしれません。ここまで踏み込むとなると、詳しい方に質問したほうがいい感じですが。

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