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正しい決算対策のやり方~その3~

これまで2回に渡って税金対策を中心に説明してきました。もう一つ、決算対策としてやっておくべきことに銀行対策があります。

銀行対策でいつでもお金が借りられるようになる

銀行対策をする最大の目的は、いつでもお金が借りられるようにしておくことです。事業を行っていれば、資金繰りが厳しくなることはたびたび起きます。そのときに、銀行がすぐにお金を貸してくれたとしたら…お金がないことに悩まなくても済みますよね。

これは一見難しそうですが、普段から銀行に見られることを意識して決算書を作っていればできることです。では銀行はどのような決算書だとお金を貸してくれるのでしょうか?

銀行格付を意識する

銀行がお金を貸してくれるかどうか、金利がいくらになるかは銀行格付という評価で決まります。そのための評価項目は13個あります。そして基本的には営業利益を増やすことを意識すれば、銀行格付が低くなることはありません。

そうすると銀行対策をするということは、営業利益をいかに高めるかということに繋がります。

節税対策のほとんどは銀行格付を悪くする

節税対策を4つに分けて解説してきました。このうち、浪費型と投資型は利益を減らすので銀行格付は下がります。浪費型をしない方が良いのは当然ですが、投資型の節税対策をするかどうかを見極めなければならない理由はここにあります。つまり、銀行からの評価を下げてでも、それ以上のリターンが得られるかどうかです。リターンの方が大きいと思えば、投資型の対策をするのは悪いことではありません。

特別損失型の節税対策はそれほど銀行格付に影響しません。なぜなら、特別損失を計上しても営業利益は変わらないからです。現金の支出もなく節税対策ができて、銀行の評価も変わらないのであれば、特別損失型の対策は積極的に行っていきたいところです。ただし、損失の計上区分を間違えてしまうと銀行からの評価が下がってしまうので要注意です。臨時性・偶発性があるなど、特別損失に計上できる要件が揃っている経費を売上原価や販売費及び一般管理費に計上しないように気を付けましょう。

税額控除型の節税対策は銀行格付にほぼ影響しません。税金が減って当期純利益が増えるので、若干は銀行格付が良くなるかもしれませんが、マイナスの影響はありません。税額控除型も基本的には現金支出を伴うものではありません。となると、税額控除型の節税対策も積極的に行った方が良いことになります。

終わりに

決算になると節税することばかりに目がいきがちですが、多くの節税は銀行からの評価を下げることに繋がると覚えておくと良いと思います。節税提案をしてくれる人は多くいますが、銀行の評価のことまで考えてくれる人は少ないです。銀行格付を算出できる方であれば、銀行対策のことを良く理解していますので、このような方に決算のアドバイスをもらうのが良いと思います。

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