見出し画像

財務分析~労働生産性~

経産省のローカルベンチマークの中で使用される6つの評価指標のうちの1つが労働生産性です。これはその名称のとおり会社の生産性を表す指標です。生産性という言葉はよく使われますが、財務分析ではどのようなことを表すのでしょうか?

労働生産性の計算式

ローカルベンチマークツールでは次のように計算します。

労働生産性=営業利益÷従業員数

従業員数は正社員のみで、パート及び派遣及び契約社員は含まれません。ただし、使用人兼務役員は従業員数に含めます。役員は従業員数に含めないのですが、そうすると従業員数が0人になってしまうこともあるので、その場合に限り従業員数は1人とすることになっています。

労働生産性が表すもの

労働生産性は正社員1人当たりが稼ぎ出す営業利益の金額を表します。注意しなければならないのは、1人当たりの売上高ではないことです。売上高から売上原価、人件費、その他の固定費を控除した残額が営業利益ですので混同しないようにしましょう。

正社員といっても業務内容や勤務時間等が異なるので、単純に頭数で割り算するのは正確ではないかもしれません。しかし、ローカルベンチマークでは正確性よりもどんな企業でも簡単に自己診断ができることを重視しているようなので、財務分析の入り口としては十分だと思います。さらに詳細に分析したいのであれば、自社の状況に合わせて工夫すれば良いだけです。

労働生産性の適正値

労働生産性は高ければ高いほど良い結果となります。業種別の中央値は△4千円~3,108千円という結果になっています。少人数でも高額の利益が出せる不動産業においては労働生産性が高く、運送業のように人手が必要な業種では低くなるという傾向があります。

しかし、異業種で高低を比較してみたところで、そもそもビジネスモデルが違うのだからあまり意味はありません。同業種で比較し、自社の状況が平均より下であれば、まだまだ営業利益をアップさせる余地があるということです。

労働生産性を高めるには、営業利益を増やすか従業員数を減らすかのいずれかです。しかし、会社の都合で従業員数を減らすという選択肢はなかなか取りにくいので、人を増やさずに営業利益をどうやって増やすかに注力すべきです。

例えば、ITを有効活用することで人手による作業をなくすというのは一つの方法です。機械に任せられる部分は任せてしまい、空いた時間で営業利益のアップにつながる取組みを行うという形になります。

終わりに

働き方改革がよくニュースや新聞で取り上げられますが、労働生産性を高めることは働き方を見直すことにも繋がります。より少ないマンパワーで従来以上の成果を出すにはどうすれば良いのか、ぜひ本気で考えて欲しいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?