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繁体字版プロジェクトセカイ(プロセカ)の現状と未来について

*給台港澳的讀者:這篇文章是以我在Medium上寫的「對於台港澳版Project SEKAI(プロセカ)的現況分析及未來走向預想」改寫而成,如果你想分享給繁體中文用戶的朋友可以分享中文版。

私たちにとって、繁体字版をやりたくない理由は、現地運営がやばいからやTiktok関連会社からリリースされたからなど、いくらでもあります。
ただ、単に結論を語ってもきっと現状を知らない方や日本の方には届かないと思い、この文章を書きました。この文章では繁体字版が一部の台湾の方から不満の声を上げた理由について説明します。
まず、繁体字版の公式サイト、FacebookページとYouTubeチャンネルをどうぞ。
公式サイト:https://www.tw-pjsekai.com/
Facebookページ:https://www.facebook.com/tw.pjsekai
YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/channel/UC17JPKF7nKWS-2tmaYxV3_A
では、ここからは本文となります。

現況について

1. アジア圏パブリッシャーは中国の会社

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*プロセカ公式サイト「プロジェクトメッセージ vol.9」より

検索すれば「朝夕光年」と「Nuverse」は中国の会社「ByteDance(Tiktokの開発運営会社)」の子会社であることを一発で判明できます。台湾のオタクコンテンツ好きな若者はそもそも中国のもの好きではないため、これを見た瞬間にすぐ手を引いた台湾プレイヤーが多数いらっしゃいました。実際繁体字版はGoogle PlayストアとApp StoreではNuverseの名義でリリースされています。
*App StoreではNuverseの香港子会社としてリリースされていますが、事実上中国会社となります。

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繁体字版App Storeより

「でもリリースが中国会社になっただけで、運営自体は日本側で行うじゃないの?」と思っている方もいらっしゃるかもしれないが、セガのニュースリリースでは「同社(Nuverse)が配信・運営を担当します」と明言されています。それだけではなく、グローバル英語版はセガ自身が配信、及び運営を担当することとなっており、扱いの差をとても感じております。

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*セガのニュースリリースより

簡単に言うと、Nuverseも繁体字版のゲーム内容に手を加える権利を持っています。内容が中国の政策に違反する可能性もあるため、一部の内容が実装されない、修正、もしくは遅延する可能性もあります。
ちなみに、繁体字版は台湾のレーティング機構に審査を出されたときは、日本のゲームとしてではなく、中国のゲームとして審査を出されました

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數位娛樂軟體分級查詢網より

2. 台湾、香港、マカオ代理運営会社Arielの運営について
パブリッシャーは中国会社という話はさておき、現地代理運営の「艾瑞爾Ariel(*中国のゲームの代理運営を主に行っています)」の評価も良くありません。同じ会社が代理運営を行なっている「東方LostWord」繁体字版も下記の状況が報告されています。

1. イベント実装大幅遅延
2. 一部の言葉、単語は使用できない(*中国本土では使えない単語)
3. 長期にわたってバグの未修正
4. 翻訳ミス
5. ゲーム内誤って簡体字を実装

もちろん、これらの状況もプロセカ繁体字版に必ず発生するとは言い切れませんが、運営評価の参考として見てくれると幸いです。

3. 繁体字版の宣伝、そしてゲーム内における問題
正式リリース前、クローズドβテストで既にいくつかの問題が発生しました。

1. 公式サイト、Facebookページ、及びYouTubeチャンネルにて簡体字、中国用語を使用
2. Facebookページのチャットサポート返事に簡体字を使用
3. ゲーム内サポートやアンケートなど、中国用語を使用
4. ゲーム内スタンプに必要のない編集、及び翻訳ミス

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*公式Facebookページより(「視頻」は中国用語)

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*公式Facebookページチャットサポートより(簡体字使用)

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*繁体字版ゲーム内より(日本版は「がんばろう!」ですが、翻訳が「ごめんなさい!」になってる)

上記以外にも奏ちゃんの足が変な編集を加わったり、鏡音レンの英語名がRINになっていたり、多くの問題がありました。興味のある方はぜひTwitterにて「#プロセカ繁体版」を検索して見てください。

繁体字版の未来について

1. いくつか懸念しているところ
中国ゲーム界隈最近のビッグニュースは、中国政府が未成年のオンラインゲーム時間に週3時間の制限を加わったことです、まるで香川県みたいな話ですよね。これで中国のゲーム界隈が一夜で事実上消滅したと言っても過言ではありません。それに対してNuverse公式サイトにもこの政策に対するニュースリリースがございました。
これがプロセカ中国版リリースが繁体字版よりも遅れているメイン理由でしょう。

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*Nuverse公式サイトのニュースリリースより

繁体字版にも同じ制限があると言いたいのではありませんが、ゲームの内容はパブリッシャーの状況や国の政策によって変更される可能性があると証明できます。ですので、前にも言ってたパブリッシャーが中国の会社になっていることがリスクとなります。
また、自分でテストしましたが、ゲームを開いただけでTiktok(ByteDance)のサーバーに接続することもございました。台湾のユーザーにとって、これも一つの杞憂となります。

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*繁体字版ゲーム内より

2. 繁体字版これからの問題について
ここまでの話を基づいて、繁体字版がこの先に発生する問題を自分なりに考えてみました。

1. 台湾に居ても一部の単語が使用できない(もしくは使用したらBANされる)
2. 公式サイト、Facebookページ、YouTubeチャンネル、ゲーム内容において簡体字や中国用語を誤って使用
3. 一部のイベントや楽曲、機能は中国の都合によって実装されない(例えばカスタムプロフィール機能)
4. 繁体字版が運営終了時、データが中国版に移転される可能性

どのゲームでも、繁体字版に日本版と同じようなゲーム体験を期待するのはそもそも間違っていますが、それはさておき、一部のゲーム内容が中国の都合で繁体字版に実装されないことになったら、むしろ日本版をプレイした方がストレスなく楽しめる。それが私が中国会社からリリースしてほしくない最大の理由でございます。

これらの事情をわかった上でどうすればいいの?

この文章では、過剰なネガティブ思考をせずに、あくまで今の現状について分析と予想をしてきました。もちろん「まだクローズドβテストだし、もう少し優しくしてあげてよ」と思っている方もいらっしゃいます。それも非常に正しい考え方だと思います。

ここまで読んで、これらの事情は日本版をプレイしてる自分とは関係ないと思っているのなら、それで大丈夫です。そもそも繁体字版がどれほどひどいことになっても、日本版とは違うゲームになっているので、別に中国の政策によってゲーム体験が変わることも一切ありません。
ですが、もしこの文章を読んだあなたが少しでも「これは違う!」「おかしい!」「ひどい!」「繁体字版はもう少し現地のユーザーに耳を傾けるべき!」と思ってくれるのであれば、Twitterで「#プロセカ繁体版」のハッシュタグを使って自分の意見を語ってくれると幸いです。

正直に言うと、Nuverseはあくまでパブリッシャーであり、日本側の運営方針に文句を出すことはできません。すなわち、もしNuverseの運営が本当に下手くそだったら、契約満了後Colorful PaletteとSEGAは繁体字版運営を別の会社に任すことも考えてくれると思います。
大事なのはゲームを遊ぶ自由さえも制限する会社や政府ではなく、大事なのはいつまでもユーザーでございます。一人でも多くの方に繁体字版の問題を注目していただければと思います。

終わりに

私は初音ミクさんやボカロ文化が好きになって、今年で九年目となります。クリプトンはここ数年、中国と台湾、香港、マカオにおける展開は、日本の別の会社よりも慎重で、それで応援し続けたいと強く思っています。少なくともホロライブみたいな炎上事件は今までありませんでした。
ですが、会社規模がクリプトンよりも大きい、セガとColorful Palette(サイバーエージェント子会社)は中国と台湾、香港、マカオなどと一緒に混ぜても大丈夫と思っているとは思いませんでした。これだけでも日本会社の国際関係に対する認識の無さを強く感じました。

この先のプロセカ繁体字版はどうなっていくのか正直わかりませんが、少なくとも私は好きなものを応援し続けます。
あなたが好きなものも、この先も国の都合に影響されることなく、輝き続けることを、心より願っております。

*この文章に対するご意見は「#プロセカ繁体版」、もしくは@ttiqa817までお願いします。

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