アメリカ英語の母音の原型は5種類ですこの5種類にR音声母音を加えた 合計6種類の母音が、「アメリカ英語の母音の原型」です
前回、あいまい母音の「ァ」とcome, mother 等の「ア」、それに hot や stop 等の「ア」の発音について 説明しました。いずれも短母音でした。
今回も「ア」と発音する母音について説明していきますが、今回の母音は「ア」で始まる二重母音です。
英語には、二重母音というものがあります。「ア」で始まる二重母音には、「アィ」と「アゥ」があります。日本語にも同じように発音する「愛」や「会う」という語があります。
英語の二重母音(「アィ」「アゥ」,「エィ」,「オィ」「オゥ」)は、前の音 (ここでは「ア」)と 後の音 (ここでは「ィ」 または「ゥ」) の間に ハッキリとした境目がないということになっているのだそうです。
つまり、それぞれの二重母音は、一つの"音素”であって、二つの音で成り立っているわけではないと言っているのです。
ところが、日本語の「愛(アィ)」や 「会う(ァウ)」の発音は、短母音を二つ続けて発音しているということになっているのです。つまり、日本語の「愛」や「会う」は、学術的には 母音と母音の発音の間に明確な境目があると言っているのです。そのため、「愛」や「会う」の発音は二重母音ではなく、短母音が続いている"連母音”だと言っているのです。
なぜ、学術的な見解がこのようなことになっているのか、アメリカ英語の発音を徹底的に解明した私のアメリカ英語の発音についての思いの中には、明確に見えてきたものがあります。
その 明確に見えてきた"きっかけ”となったのが、アメリカ英語の母音は20種類以上あるという(外国人を含めた)英語学者や英語研究者の理論です。
この理論は、20種類以上の母音、つまり、アメリカ英語の母音には 20種類以上の"音素”があるということを言っているのです。
"音素”とは、"単独で発することができる音の最小単位”ということになっています。
ということは、彼らは、二重母音だけでなく 三重母音も一つの音素だと言っているのです。三重母音を"単独で発することができる音の最小単位”だと言っているのです。
アメリカの音声学の学者や研究者がこのように言っているのは解かります。なぜなら、そのように言っている"根拠”になっていることが、アメリカでは周知の事実だからです。
ところが、日本の音声学の学者や研究者の方々は、この"根拠”に基づいて、アメリカ英語の母音は20種類以上あると言っているいるわけではないようです。
どうやら、アメリカの音声学の学者や研究者が言っていることなのだから、ということで従っているようなのです。
ここで言う"根拠”とは、前回 何度も述べたことですが、アメリカ英語は、舌を喉の奥に引き込むような感じのしておいて、あるいは、舌を口腔の後ろに強く引くようにしておいて発声しているということです。これがアメリカ英語の「発音の原則」です。
この「発音の原則」こそがアメリカの学者や研究者が、アメリカ英語の母音の種類、つまり、母音の音素は20種類以上あると言っている"根拠”になっているのです。
つまり、舌を上記のような状態、あるいは 形状にしておいて発音することにより、母音と母音の境目があいまいになり、三重母音でさえ 一つの音素として発音できてしまうということです。
ここのところが、舌に力を込めることなく発音しているために 一つ一つの母音がぶつ切り状態になってしまう日本語と異なっているところなのです。
舌の状態や形状をアメリカ英語を話しているアメリカ人と同じようにしておいて発音するということの説明もなく、日本語を話すときのリラックスさせた舌の状態のままで、アメリカ英語の発音を習得させようとしているのが、これまでの日本で行われていた発音学習・発音指導なのです。
日本人が英語の発音ができない根本的な原因が、ここに潜んでいたのです。相当な英語力がありながら 潜在化させたままで顕在化させることができずにいたのも、もとをたどれば ここに行きつくのです。
アメリカ英語の発音を身に付けるには、舌をアメリカ英語を話している人たちと同じようにしなければならないのです。
そのようにすることで、日本語のアイウエオが、自動的にアメリカ英語のaeiouになり、このaeiouの五つの母音とR音性母音で、20種類以上あるアメリカ英語の母音を滑らかに発音できるようになるのです。
母音を滑らかに発音することで、母音と母音にハッキリとした境目がなくなり、二重母音も三重母音も一つの音素のような発音になるのです。
なお、二重母音の「アィ」「アゥ」の発音は、「ア」の音を強く、後に続く「ィ」や「ゥ」は軽く発音します。
以上です。
今日のまとめ
①日本語の「アイ」は連母音で、アメリカ英語の「アィ」は二重母音になる。
②アメリカ英語では、二重母音も三重母音も一つの音素という捉え方をしている。
③私たち日本人も、アメリカ英語の舌にしておいて、二重母音や三重母音を発音すれば、母音と母音のつながりが滑らかになり、一つの音素のように発音できるようになる。