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えっ!そこにいたの?! 〜浄化槽物語⑦〜


突然ですが、神様って信じますか?
目に見えないものですが、信じている人はたくさんいます。
目に見えたら否が応でも信じられるのですが…。

レーウェンフックは自ら開発した顕微鏡で、今までは目視できなかった極小の生き物たちの存在に光をあてました。

現在の顕微鏡と随分形が違いますね。1980年代になってレンズ精度が調査され、最高の倍率は266倍もあったそうです。

レーウェンフックの開発した顕微鏡(復元)

レーウェンフックは顕微鏡による観察で様々なものを発見し、スケッチして発表しました。それでも最初のころは学者や宗教者は信じなかったそうです。
あるとき、彼のもとへ身なりのきちんとした男達が訪ねてきました。
さる高貴な方が、君の顕微鏡が見たい、けれど家まで押しかけると街中パニックになってしまうので、君が顕微鏡をもって橋の向こうの馬車までおいでてくれないか、と言うのです。
レーウェンフックはすぐに顕微鏡を持って出かけ、馬車のなかでその人と色んなものを観察しました。その高貴な人はロシア皇帝だったので、その頃から彼の顕微鏡や、その観察スケッチや発表を笑うものはいなくなったそう。

目に見えないくらい小さいいきものがいるということは彼が顕微鏡で見出すより100年も前から言われていたことです。レーウェンフックのすごいところはその忍耐強く底知れない観察力ではないでしょうか?それまでは小さな虫は花から「湧いてくる」とされていましたが、小さな虫の腹部に卵を見つけ、孵化によって繁殖することで増える、ということを世に知らしめました。

〜ここからは妄想〜
今では微生物の存在や生態はある程度明らかにされてきて、都会ではミドリムシのバイオディーゼル車が走っています。そして浄化槽では汚水をその場で微生物に分解してもらっています。
もしもレーウェンフックが顕微鏡を開発していなかったら、どうなっていたでしょう?
学会に発表した”観察事実”をみんなに笑われて、そこでや〜めた、と言っていたらどうなっていたでしょう?
「あの男はでたらめばかり言っている。」と批判されたとき、レーウェンフックはこう言ったそうです。

「無知なる人々のあいだでは、私のことを魔法使いだと言っていますし、
私がこの世には存在しない物を見せているとも言っています。
しかし彼らは許されるべきでしょう、
彼らはよく知らないからです。」

彼が微生物を発見した200年くらい後に、フランスにパスツールという人が現れ、微生物は「湧く」のか、「親から生まれる」のか、学会で大論争を巻き起こし、自然発生説に完全勝利します。それによって人類は病原菌の予防学やワクチン、ワインの安定製造、食品の長期保存法など、数え切れないほどの恩恵を受けられることになります。
レーウェンフックがいたからこそ、というには私は勉強が足りません。でも根気と勇気と折れない心が、いつの時代も新しい扉を開くのだろうと思います。


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