「ゴースト・トレインは東の星へ」ポール・セロー
自分ではあまり旅行に行かないのに旅行記が好きで、特にバックパッカーものが大好きである。これはかの有名な自著「鉄道大バザール」と同じ道を、著者が30年後に辿るという本。
セローは日本にも来ていて、村上春樹が彼をポルノショップとメイドカフェに案内していることに驚いた。村上春樹という人はサービス精神旺盛な人だ。しかし日本編には、バックパック旅行の醍醐味というのは、やはりあまり感じられない。
この本を読んで特に感じたのは、物乞いとか貧困層に対して旅行者がどう振る舞うか、ということだった。
僕は基本的には無視することにしている。気にしていたらきりがないからである。
セローは基本的には相手をみて施しを与えているように思える。
セローは、働けなくなったら死にたいと話した、ミャンマーの誠実で親切なリキシャの老人に(老人にとっての)大金を与え、2年分の家賃を払うか、(今は借りている)中古のリキシャを買うように伝えている。
セローの友人も同じように、バイクのガイドに中古バイクを買い与えている。それで夢を実現するための貯金ができるだろうと。
もし仮に僕も、東南アジアで同じような立場に立ったら、同じようなことをしようと思った。正確には、してもいいんだなと思った。
僕はバンコクでは、MRT駅の前で寝ていた女の子(幼稚園くらい)の傍らに寝ていた2匹の子犬の頭の下に紙幣の何バーツかを置いたのと、いきつけのマッサージ屋でタオルをたたんでいた子供にやはり何バーツかお小遣いをあげたくらいである。
それだけでも、何か自分の傲慢さを感じるようで嫌だったのだが、もう少し自然に考えればいいのかなと思った。
次にセローみたいな旅に出られるのはいつの日か。
たった一回のサイゴン行きでは、自分のタフでなさに嫌気がさしたのだけど、こういう本を読んでいると、また行きたいなあと思えてくる。
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