1人から始めるUXリサーチOps
こんにちは、ChatworkでUIデザイナー兼UXリサーチャーの仁科です。
(ちなみに「UXリサーチャー」は勝手に名乗っています)
今日はChatworkでわたしがトライしている、UXリサーチの企画〜分析までを書いてみます。
UXリサーチは去年Chatworkに入社してから始めたことの1つなのですが、いざやってみるとタスクの多さにびっくりします。
1. インタビュー設計
2. 対象者選定
3. リクルーティングオペレーション
4. 実査(インタビュー)
5. 分析、レポート
わたしが特に神経を使うのはリクルーティングです。お名前間違いや日程間違え、個人情報の取り扱いなど、他の業務の片手間ではやるのは厳しいなと思うことがあります。(やってますが…)
それぞれのタスクの進め方や意識していることを書いてみたいと思います。
1. インタビュー設計
■ 進め方
新機能開発のプロジェクトなどで、仮説やエレベーターピッチ、ターゲットが固まってきたらインタビュー設計を開始しています。
今持っている仮説から、何を聞けば仮説の立証or反証ができるか考えていきます。
始めたばかりの頃は、ただ「聞きたいな〜」と思うことを箇条書きにして並べ替えたりしていたのですが、「何を引き出したいか」の目的から逆算しつつ、答えやすいものから深い質問への流れを作るといいとアドバイスをもらってから、長時間悩まずにインタビュー設計ができるようになってきた気がします。
■ 意識していること
ガチガチに設計するというよりは、必ず抑えたいポイントとその掘り下げの質問を用意して、社内メンバーに被験者になってもらって試したり、思うように回答を引き出せなければ実施しながらチューニングしていっています。
2. 対象者選定
■ 進め方
同じくインタビューのターゲットが固まってから開始します。
最初の頃は、セールスチームにインタビューの目的を伝えてユーザーさんを紹介してもらっていました。
セールスチームからの紹介や、知り合いのユーザーさんを頼りにまずはインタビューを始めてみるのは素晴らしいことだと思います。
ただ、セールスチームにリクルーティングを依頼した場合、Chatworkではいくつか課題がありました。
■ セールスチームにリクルーティングを依頼する際の課題
リクルーティングが偏ってしまう
セールスチームが接しているユーザーさんは「組織にChatworkを導入した立役者」の場合が多く、管理者クラスの方にリクルーティングが偏ってしまう
ターゲット像の指定がしづらい
セールスチームがすでに関係値を築けているユーザーさんに限定されるので、例えば「リモートワークに課題がある方」などと対象を絞ってしまうと、該当者がいなくなってしまうことがある
そこで、今年立ち上がったばかりのカスタマーサクセスチームに協力してもらい、メルマガなどにユーザーインタビュー募集のアンケートを載せてもらって被験者を募ることにしました。
メール配信をデザイナーの私がみずから行うのはかなりハードルが高いのですが、すでに定期的に配信されているメルマガに便乗できれば、募集フォームを用意するだけで被験者が募れます。
またユーザーインタビュー参加者募集の応募フォームに簡単なアンケートを入れておくと、いくつかメリットがあることがわかりました。
●被験者に事前にアンケートを取るメリット
・スクリーニングが可能になる
「リモートワークに課題がある」「サービスの印象が良いと感じている/良くないと感じている」など、事前情報から対象者を選定できる
・事前情報から話を広げやすくなる
リモートワーク状況、サービスの印象などが事前にわかると、インタビュー時にそこから話を広げられる
すでにいただいている情報からインタビューを始められると、インタビュー時間の短縮にも繋げられて、被験者の負担も減らせるかなと感じています。
■ 意識していること
応募いただいた方の中から、業種や職種、サービスに対する印象などがなるべく分散するように選定しています。
ターゲット像は絞りつつその中でさまざまな回答を得るために、サービスが好きすぎる方ばかりだったり、職種が同じ方ばかりにならないよう気を付けています。
3. リクルーティングオペレーション
■ 進め方
対象者の選定が終わったら実際にコンタクトを取り日程調整をしていきますが、これが一番タイミングを見極めるのが難しいなと感じています。
インタビュー設計がまとまっていないのに日程が決まってしまうと焦ってしまうし、あまり先すぎる日程だと被験者の方も予定が読みづらく直前にキャンセルになる可能性が上がるという話を聞きます。
急ぎの案件でなければ、インタビュー設計があらかたできてから日程調整を始めるのが無難だなと思っています。
また、基本的にChatworkユーザーさんとはChatworkでやりとりさせていただけることが多いので、なるべく早くレスポンスを返せるように、下記のご連絡テキストをテンプレート化しています。
●用意しているテンプレート
・初回コンタクト時のご挨拶
・予定調整の依頼メッセージ
・予定のご連絡に対する返信
・当日のリマインド
・終了後のお礼と謝礼に関する連絡
終了後のお礼はインタビュー内容に合わせてカスタマイズしたり、上記以外でのやり取りが発生することはありますが、基本の流れを用意しておくとちょっとしたスキマ時間でも返信できるので、連絡の遅れや、「返信しなきゃ」という自分自身からのプレッシャーからも解放されます。
■ 意識していること
「並行して同時に連絡するのは2名まで」にしています。
立て続けに返信いただくと慌ててしまい取り違える可能性もあがってしまうので、候補者の方全員に一気にコンタクトするのではなく、1〜2名ずつ進めています。
(ここはレスポンス性の高い、チャットを使ったやり取りならではかもしれません)
同じ候補日に複数の方から希望をいただいてダブルブッキングしてしまう、と言ったことを避ける意味でも有効です。
またダブルブッキングの防止に関しては、こちらから提示した日程に対して第二希望まで希望を伺ったり、Hubspotなどを使って自分のGoogleカレンダーの空き時間を直接抑えてもらうのも効果的だと思います。
4. 実査(インタビュー)
■ 進め方
基本的にはオンラインで、Google Meetなどを利用してインタビューを行っています。
自宅からビデオ会議に接続する場合、突然のネット切断にも備えておいています。
先日実際にインタビュー中に近所で雷が落ちて停電し、自宅のネット回線が切れました。
あらかじめスマホでもビデオ会議とプロトタイプのアプリを開いておいていたので、切断後すぐにリカバリーできましたが、何も用意していなかったらかなり慌てていたと思います。
■ 意識していること
なるべく集中できるように、インタビュー前の30分間は別の会議などの予定を入れないようにして、事前アンケートや流れの確認をしています。
基本的なことかもしれませんが、インタビューが始まったら、あらかじめ用意した質問に忠実に沿うのではなく、必ず聞いておきたいことだけ抑えられればいい、という程度に割り切っています。
なるべく会話の流れで出た回答を掘り下げることに重きを置くようにしています。
5. 分析・レポート
■ 進め方
終了後は、熱が醒めないうちに参加メンバーと振り返りをしています。
印象的だった点を箇条書きでまとめ、参加できなかったメンバー向けに数日以内に議事録と要点をチャットで共有しています。
■ 意識していること
一通りインタビューが終わったら、被験者のご意見を俯瞰で見られる超サマリーもつくっています。
本当はプロジェクトメンバーにも一人一人同じ情報量を持ってほしい気持ちはヤマヤマなのですが、情報量が多いと視覚的に捉えるのも難しくなるため、ぐっと削ぎ落とした情報も用意しています。
また本来引き出したかった回答以外の部分で、機能への改善要望をいただくこともあります。そういったフィードバックは、開発チーム全員が参加しているフィードバックチャットに投稿しています。
同じご要望でも、課題の背景を添えて何度でも投稿するのがポイントだと思っています。
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以上がここ数ヶ月で1人のデザイナーが兼務で行っていた『UXリサーチOps』でした!
今後はユーザビリティテストなどにもトライしていきたい、となってくると回らなくなるため、今月よりポップインサイトさんのアジャイルUXリサーチを導入することになりました🎉🎉🎉
もっといろいろな取り組みや、自己流でやっていた部分の補正などしていきたいと思っています。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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