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実家の猫

実家には10歳を超えるオスの猫がいる。
名前はアラン、去勢はすんでいるため若いときはかなりやんちゃだった。
彼は私の布団を自分のものだと認識している節がある。
たまに実家に帰って寝ようとすると、
邪魔くさそうな顔をして場所をいやいや開けてくれる。

彼がうちに来たのは私が高校3年生の時だったと思う。
入学前に高校のジャージを採寸する場所で出会った、後のクラスメイトの紹介で。
仮にそのクラスメイトを伊藤とする。
伊藤とは生徒会やらでとても仲良くなったが、今はもう結婚して二児の父。
伊藤の親戚の家が一軒家からアパートへ引っ越すことになり、
貰い手が見つからなかったアランはうちに来ることになった。

はじめ、おっかなびっくり床にへばりつきながら移動していた彼が、
今や家中のふかふかしたところは自分の寝床だと思って暮らしているのだ。
住み続けられれば都なのだろう。
根気強く、引っ掛かれながら、餌をやったり頭を撫でたりした頃が懐かしい。

姉の帰省時には「キシャー」と声を上げるが、
私には不思議そうな顔をして、鼻と鼻を合わせる猫同士の挨拶をしてくれる。

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