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グッナイ小形に聴きたかったこと

「生き急いで、取り残されて、何にも見えなくなった帰り道」
(グッナイ小形「ライフイズペチャクチャ」より)

グッナイ小形は高円寺ストリートの路上で歌を歌う。
寂しさを感じる全ての人たちに
”君は一人じゃない、今夜は安心しておやすみ”と伝えるために。

教育者の両親に育てられた小形は一度入った旭川の教育大学を中退した。
家に戻り、センター受験をし、
今度は「お前は頭が悪いんだから」と親が言うままに小樽の大学の経営学科に通った。
山でカフェを開いた。うまくいかなかった。
4年次に24になっていた小形は逃げるようにして東京に出てきた。
実は高校時代、東京の大学に受かっていた。
どうしても東京に出たかった。

音符は読めた。
小さな頃から習っていたピアノと、高校自体の吹奏楽経験と。
ずっとつけていたポエムが原動力になった。
親への反発。
殴るように歌に想いを込めた。

Q.本当は売れたくないのではないですか?
「嫌なこと言いますね(笑)
深いところにはそう言った感情もあるかもしれない。
でも、歌いたい。
いろいろやってみて、幸運なことに、
僕には歌が残っていた」

最近になって親父と初めてまともに話ができた。
「音楽で生きているんだから、お前はそれでいいじゃないか」
10分ほどの会話のなかで、親父に許された気がした。
認めてもらうというには些細な言葉だったかもしれない。
それでも小形には、歌いたい歌を、歌っていこうと思えた。
誰かを殴るためではなく、おやすみを伝えるために。

(記者:やんこ)

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