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わたしが「天職」を辞める話

今日は休み。明日も休み。
休日も仕事の電話が手放せなくて、いつ電話がかかってくるかもとぴりぴりして、友達とご飯を食べていても何度も仕事のメールをチェックしていた自分が、その携帯を手放した。
2月28日。勤めていた会社を退職した。
前職塾教師。今は何にも。

さかのぼること2年前。
いつものように仕事を終えて、家に帰るために車を走らせていた深夜。
突然後続車から赤い点滅。
路肩に止めて窓を開けた第一声、

”ずーっとついてきたけど、蛇行してるよ。大丈夫?
アルコールの検査させてもらえる?”

当然お酒なんか飲んでないから素直に検査を受けて、結果も問題なし。
その間に、ここに至るまでの話を聞かされた。
■10km近く前からずっと後ろを走っていたこと
■その途中で対向車線にはみ出して、トラックにクラクションを鳴らされていること
■対向車線にはみ出したり、歩道に乗り上げそうになったりを何度も繰り返していたこと

確かに、恥ずかしいけど捕まる瞬間までのことは全く記憶がない。
アルコールがないことがわかって、私はそのままおとがめなしとなった。
家まで残り500mもない場所。でも怖くて仕方がなくなった。

脳下垂体腺腫、およびそれに伴う先端巨大症という病気を抱えている。
(この病気の話はそれだけでかけることがいっぱいあるし、同じ病気にかかった人の役に立ちたいから、いつかちゃんと書こうと思っている。)
その症状の一部なのか。
病院で相談したが答えはおそらくNO。
その後やっぱり心配だからと、お願いして2度目となる摘出手術を受けたが、確かに症状は改善しない。
その間、精神科にもかかる。
そこではASDとの診断を受ける。でもこれは症状とは全く関係がない。
双方ともに、指摘された結論は、今の生活の在り方の問題で、ほぼ毎日続けている仕事のほうが問題なのではないか、ということだった。

塾の仕事は本当に楽しい。
お金とありがとうをしこたまもらえる至福の仕事。
授業で子どもたちが、目を輝かせて学びに来るのを、いつも楽しみにしていた。たぶんあちらも。
一方で当然商売なので、やるべきこともある。好きで楽しいことだけをやるのでは仕事にならないので、それ以外のことをやっている時間もたくさんある。やらなきゃと思っていたことが時間内に終わらなかったり、自分の要領の悪さのせいで要らぬ仕事を増やしたり、なんだかんだで夜も遅くなった。
お世話してくれる先輩がいて、慕ってくれる後輩がどんどん増える。
自慢だが「人と出会う運」は地球上トップレベルだと自負している。
その人たちから感謝されたいと、とにかく訳も分からず必死だった。

学生のころアルバイトでかかわって、見事にはまった。
お金が欲しいので、授業をいっぱいしたいから、家から遠くてもいいので学生の確保が難しい地域の校舎にしてくださいと希望を出した。
家は八王子・南大沢だったが、そこから片道1時間かけて東村山まで通った。週1日は2時間かけて千葉県八千代市まで。
とくに東村山での仲間たちにも本当に恵まれていて、今でも連絡を取り合ったり、コロナになる前はキャンプに行ったりもした。
たびたび授業後の生徒の話で盛り上がりすぎて終電を逃した。きまってメンバーのうちの実家暮らしの子の車を借りて、わけわかんないところへ出かけて行った。

夜が遅いのは平気なほうだし、
何なら寝なくても大丈夫だし、
それよりこの仕事の楽しさが勝って、
就職活動は塾一本、というか3社のみ。
アルバイト先と、前職から内定をもらった。
(もう1社は、必要な書類を忘れてくるという無礼を働いてしまった)
アルバイト先の塾の社員の仕事はアルバイト君たちの管理。
それをやりたいわけではないので、教師としての採用を受けられ、また地元を中心に展開していて、そして何よりちょっと給料のよかった前職の内定を受諾することにした。
あとになって反省するが、声がでかくて覇気のあるお話をする大先輩の話を聞いて、「こういうのが求められてるんだな、だったらちょろいわ」と思ったのも前職を選んだ理由。懺悔。

それからずっと、この仕事を天職だと思っていたし、
周りの友人・親戚も口をそろえて同じことを言っていた。
唯一、心配性の祖母だけが、ずっと私の体を心配していた。

2年前の事件から、すごく悩んで、何とか仕事を続ける道を模索した。
前述の手術も、医師の診察も。そして退職表明後も人間ドックを受けに行った。何も異常はない。ただ自分の中での体調は日々悪化。
蛇行運転も、たびたび自覚する瞬間が増え、
いつか事故でもするような未来がちらついてきた。

この半年、睡眠時間を記録している。

平均5時間半。確かに、睡眠時間は短いのかもしれない。
誰かに強制されてその生活をしているのならまず文句を言うところだが、そもそも自分が望んでしていることなので、毛頭そんな気にもならない。
そもそも今の仕事で、自分がやりたいことを、自分のありたい姿でやりきるために今の生活をしているのであって、好きだからこそできる無理、というのが山ほどあった。

でもいざ年齢を重ねて、体調も日に日に悪くなっていく中で、
いつか本当にダメになってセーブしなきゃいけなくなったときに、ここに居続けることはできるのか?
仮に居続けられたとして、それは自分がこの会社の中で実現したいことの1つになるのか?
というか、休日でも会社の携帯みて、なんなら校舎に行ってなんかしてるような自分がこの会社で体調を気にしながらぼちぼち仕事なんてできるのか?

2年間の答えが出た。
ぼちぼちをやるならここじゃない。
だってここは私の「天職」だから。
それをぼちぼちなんて、絶対にやりたくない。

次に出会う仕事は「新たな天職」になるのかな。
それまでは、自分の体のために1か月休むことにしている。
だから、それまでの間、転職活動のことや、
大好きないろいろのことや、
病気のことを綴って、同じようなことで困っている人の役に少しでも立てたら、と思っている。

これまでの記事は文章を書くためのリハビリ。
でも必要なかった気がする。
書き始めたら、普通にかけている。

最後まで読んでくれてありがとうございます。
今後の記事が、何かのお役に立てたら幸いです。

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