ショートショート『休日』

人は眠らなければならないし、食べなければならない。
お風呂にも入らなきゃいけないし、汚れた服は洗濯しなきゃいけない。
それでも、駆け回って過ごす私たちは素晴らしいから、週のどこか一日だけでもいたわるというものは必要だと最近感じるようになった。

焼きたてのトーストを熱いコーンスープで流し込み、窓を開ける。
それからみずみずしい野菜の繊維をかじって、咀嚼して、まだ食べ物を取り込めるという達成感を味わう。
それから、ベッドにまた戻って吉本ばなな先生の本を開く。
お供はあえて甘く無い飲み物を選んで、時々窓からの風で目を覚ます。
好きな音楽も、ゲームも全部、今日は目の前にある。

外は、情報という情報に溢れている。
だから時々くらいは閉じこもったっていいじゃないか。
暖かいブランケットにくるまっていると、幼少期の昼寝の時間を思い出す。自分の匂いは、DNA上そうなのか、母親と同じで落ち着く。

きっと休日というものは、本来の人間としての本質を取り戻すものであるのだと思う。心のうちのわくわくだって、生涯残っているものなのだから。私たちがずっと子供のままでいられるのも、休日という存在があるからだと、信じている。

どうして何もできないだけで責められてしまうのだろうか。
何もできなかったのなら、できなかった背景を認めたらいいのに。
何もできなかった、そうなるくらい頑張った経緯があるのに。
休むことは、ほんとうに甘えたことか。
エネルギーが無いと活動できないように、幸せという甘さが足りない状態なのに。

休日は、なにも知らないままでもいいのだ。
だって、そのくらい必死に生きているのだから。
価値はそれぞれ、生き方と一緒。
それを忘れたら壊れてしまうのだ。

とことん休もう。
花が、毎日綺麗に咲くように。

さようなら、罪悪感。


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