天国がもしもほんとにあるとしたらそれは僻地のリゾホのさびしさ

ここですべて事足りているとほんとうに思ってしまう場所を知っているだろうか。5年くらい前に九州に帰ったとき、遠出して山間のリゾートホテルで一泊したことがあった。そこには地方の温泉リゾートが出し得る限りのすべてがあって、これ以上他に何が要ると言いたくなる空間だった。バイキングはなんでも出てくるし酒もある。噴水とライティングのショー、スーパー銭湯2つ分ほどのバリエーションがある温泉。天国だった。でも何処か時が止まっているような香りがして、ふと我にかえったら急に身体がしゅんとなってしまったのだ。

天国には多分なんでもある。そこにはスプラッシュマウンテンもドドンパもないけれど。きっとなんでもある。その御前ではiPhoneを触る気にもなれないけど。満たされているはず。テレビも置いてあるけど録画機能なんてないし、追っかけ再生もできないけど。

温泉リゾート、そこでは欲望のすべてが卓球で満たされるのだ。承認欲求とか満たされないけど、ピンポン球を5ラリーさせることが出来たらありとあらゆることが許される。持ってきた本もゲームも手をつけないけど、朝の露天風呂と朝食のバイキングでオールオッケーになるのだ。


なんでもあるに四方を囲まれた瞬間、急にそこにはさびしさが生まれる。死生観あんまり深く考えたことないけど、死後の世界ってもしかしたら温泉リゾートかもしれない。いくら露天風呂やサウナに入っても永遠に皮膚がふやけない場所。すぐには帰れないそこに居ると、意外となんでもあるなここには…と感じてしまうのだ。無駄なものが削ぎ落とされた"すべて"が揃っている天国。行ってみたい。でも絶対今じゃない。寿命で天国いったらいつかステラ・ドネリーとDry Cleaningと卓球対決するんだ…。






最後に突然話が変わってアレですが、京都に行ったらつち福にいきたい。

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