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「母子世帯の発生を抑える」ために必要なことは?

少し前ですが、こんなニュースがありました。

この中で「いかに若い人の妊娠率を下げるか、母子世帯の発生を抑えるか。」という発言があるのですが、そこに対して反論を唱える記事をいくつか目にしました。

ただ世間の多くの方は「なんで?若い人の妊娠率が下がったり、母子世帯にならなくてすむなら、そっちの方がいいんじゃないの?」と思うのではないでしょうか?

社会の多くの方々にそのように思われてしまうことに個人的に危機感を覚えているので、僕なりに「なぜ今回の発言が問題視されるのか」を解説してみようと思います。

今回は後者の「母子世帯の発生を抑える」に絞って記事を書いていきます。

「母子世帯の発生を抑える」にはどうすればいいか?

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まず初めに、今回の発言に沿って「母子世帯の発生を抑えるにはどういう方法があるのか」というところから考えてみます。

ひとり親家庭になる理由は、大きく分けると「離婚」「死別」「未婚」の3つです。

その中でも「離婚」が約8割を占めます。

つまり、母子世帯の発生を抑えようとした時の最大の方法は「離婚を防ぐ」になります。

※極論を言えば「そもそも結婚しない」になりますが、今回は「離婚を防ぐ」で話を進めます。

離婚を防ごうと思ったら、次に気になるのは「そもそもなぜ離婚するのか?」です。離婚に至る理由を把握して、そこに対する改善策を取れば離婚は防げるはずですよね。

ちなみに皆さんは離婚の理由ってどんなものが多いか知ってますか?

ちょっとマニアックになるのですが、「司法統計」という調査でそれは見ることができます。

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(出典:平成27年司法統計年報 3 家事編)

こちらがその司法統計から引っ張ってきたデータなのですが、見てもらうとわかる通り、離婚理由の1位は「性格が合わない」です。これは申立人が夫の場合も妻の場合もそうです。

今回は母子世帯の発生を抑えるというテーマですので申立人が妻側の理由に注目していこうと思うんですが、申立人が妻側の第2位の理由は「暴力を振るう」です。

この調査は3個まで複数回答が可能なものなんですが、どうでしょう?

「暴力を振るう」人とは「性格が合わない」と思う人、多いと思いませんか?

そう考えると、もしかすると「性格が合わない」と答えた人の半数くらいは「暴力を振われた」人なのかもしれません。

それに近しいものとして「お酒を飲みすぎる」や「浪費する」というのもあります。

お酒を飲みすぎて暴力を振るう。

浪費するためのお金をパートナーから奪うために暴力を振るう。

全部が全部そうだとは言いませんが、考えられない話ではありません。

こうした離婚理由の統計を見ていくと、「離婚を防ぐ」ためには「夫婦間での暴力が生じないようにする」取組が最も根本的な解決につながるんじゃないかと思っています。

ミスリードにつながりかねない

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統計を基にして「母子世帯の発生を抑えるにはどうしたらいいか」を自分なりに考えてみたのですが、いかがでしたか?

納得されない方もおられるかもしれませんが、でもこんな風に話をされると「なるほど。母子世帯の発生を抑えようと思ったら、単に離婚を我慢すればいいって話ではないんだな。」ということをわかってくださる方もいると思うんです。

逆に言えば離婚理由が一体どうなっているのかというところまで踏み込んで考えなければ、「とにかく離婚はだめだ」と当事者に我慢を強いる可能性が非常に高くなると僕は考えていて、それが今回のご発言の最も危険な部分だと思っています。

暴力が生じる構造には間違いなく社会の影響があってそれは社会の問題なのに、個人の我慢の問題にミスリードしかねない。

これは絶対にあってはならないことです。

再び「自己責任」の論調が強まるようなことになれば、子どもの貧困対策やひとり親家庭が暮らしやすい社会づくりは、その時計の針を一気に巻き戻すことになります。

そうなってほしくないなと思い、今回noteを書いてみました。

この記事を通じて、少しでもひとり親家庭への理解を深めてくださる方が増えたら嬉しいです。

もし「もっとひとり親家庭の置かれている状況や、取り巻く問題について理解を深めたい」という方がおられましたら、6月21日にオンラインで開催するこちらの説明会にぜひお越しください^^

当日も僕が話をさせていただきます!


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