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ヒノカミ神楽を舞ってみた

🔥神楽のある村に住んでいます

私が住んでいる宮崎県・椎葉村の上椎葉地区では、12月11日に昼神楽祭が催されました。椎葉村は日本三大秘境なんて言われるくらい山深い、九州のほとんど真ん中にある村です。

例年は夜神楽(よかぐら)といって17時頃から朝8時頃まで交代で舞い続けるのですが、村内限定の開催に規模縮小されたうえでの昼神楽では朝8時から夜中の1時くらいまで舞い続けました。うん、時間帯が変わっただけですね笑。

夜半も近くなると、眠気と(お酒を飲む人は)酔いで失神寸前・・・。神楽の考察によると、このトリップ状態に近い恍惚とした精神状態こそが神さまの領域に近づくために必要なのだとか・・・!

上椎葉神楽の演目は全部で22番。私は椎葉村に住み始めて3年目、神楽保存会に入ってまだ2年目ということで多くの演目を任されることはありません。が、昨年はひと番だった演目がふた番に増えていました!

🔥ヒノカミ神楽との出会い

ひとつは、昨年も舞った「願成就神楽」(がんじょうぜかぐら)です。大神幣と呼ばれる大きな御幣を持って舞うので「大神神楽」(だいじんかぐら)とも呼ばれる、一年の無病息災などを願う舞いです。上椎葉神楽を始めるにあたって初心者がまず習得するのがこの「願成就神楽」または「大神神楽」。その理由は、足の運びや所作、御神屋(みこうや≒神楽を舞うところ)の中での立ち位置の取り方など、神楽を舞うにあたっての基本が概ね詰まった演目だからなのです。

そしてもう一つは「火の神神楽」!

見た瞬間「ヒノカミ!むっちゃ鬼滅の刃!」と思いました。

この火の神神楽、上椎葉神楽だけではなく村内他地区や他の町村の神楽でも見られる演目なのですが・・・単純にWeb検索しただけでは『鬼滅の刃』しか出てきませんね。それだけ鬼滅の「ヒノカミ神楽」がもつインパクト、カッコよさは絶大だったのではないかと思います。

そしてご案内のとおり『鬼滅の刃』の「ヒノカミ」は「日の神」と解釈できるので「火の神」ではないのですが、やっぱり「ヒノカミ」の響き的にかなり興奮しますね!「マスターすれば日の呼吸が使えるようになるんじゃないか?」的な、厨二心をくすぐられる要素もあります。いやだって、初めて炭治郎が日の呼吸を発揮した19話「ヒノカミ」の興奮は計り知れないですもんね。神回ですよ、神回!

🔥ヒノカミ神楽を舞ってみた

長くなりましたが、とにかく本番舞ってみたらどんな風だったか・・・動画でご覧ください!
(「椎葉村交流拠点施設Katerie」は、筆者が運営に携わっている椎葉村の公共施設です。noteに直接動画を挙げられないので、KaterieのツイッターにアップしたURLも掲載します)

・・・どうでしょうか・・・?
・・・ヒノカミ神楽と違う・・・?

「火の神神楽」なんだからそりゃ違うんですけれど、炭治郎のお父さんが舞う「ヒノカミ」みたいに一晩中ぐるぐるしゃんしゃん回り続ける激しさ・力強さとは違う、ふんわりとした優美さが目立つ舞ですよね。何と言うか「火の神」というには荒々しさが無いような・・・。

そこで「火の神神楽」にはどんな意味があるのか調べてみました!

🔥ヒノカミ神楽を調べてみた

Webで「火の神神楽」と検索しても『鬼滅の刃』ばかりですが「火の神神楽 椎葉村」と調べてみたら、火の神神楽の意味を知ることができました!

椎葉村の尾前神楽に伝わる「火の神うじいれ作法(かまどはらい)」が久々に舞われた。

(中略)

「うじいれ」は夜通し舞われる神楽の中で、明け方にかまどの火を再生させる意味が込められている。近年は神楽がかまどのない公民館などで奉納されるため、省略されてきた。

「椎葉神楽-火の神うじいれの作法」『夕刊デイリー』(2015.10.5)
http://www.yukan-daily.co.jp/news.php?id=55868

「か」「ま」「ど」!!!
まさに、竈門炭治郎!!!

なるほど「火の神」とはかまどに入れる「火」の神様だったんですね。たしかに上椎葉神楽でも火の神神楽は最後の演目である「神送り」(神楽のためにお呼びした神様にお帰りいただく神楽)の直前に舞われますが、これは通常の夜神楽の場合明け方にあたります。
※夜神楽は夕方から朝まで舞われる

そして、確かに僕たちも「火の神神楽」の最後には御神屋を出ていって台所に入っていくんです!そして台所の火を使う場所にむかって鈴を鳴らしながら、抱きかかえるというか…覆いこむようなポーズをとります。

この場面を「退散いたすww」とか思っていましたが、あれは御神屋にいらした火の神様を台所にお連れして、火が絶えぬようかまどに吹き込むという大事な場面だったのかな…。

何より「かまど」の一言があるおかげで、何だか炭治郎のことがぎゅっと身近に感じられます。炭焼きの家業を営んでいた竈門家との縁も感じますね。

そしてさらに「火の神神楽 椎葉村」のサーチを続けると、先ほど夕刊デイリーさんの記事に出てきた尾前神楽の「火の神神楽」の映像が出てきました!

なんかカオスww

神楽の舞が始まっているのかいないのかわからない状況、着替えている人が御神屋にいること、横切るおじさま、おでこに炭を塗られて喜ぶおじさま(先の記事にあった「大根に付けたかまどの炭を顔に塗り、無病息災を祈った。」のところだと思います)・・・そして唐突に始まる、ボリウッド映画の結婚式みたいなどんちゃん騒ぎ!w

・・・多分明け方の、盛り上がりのピークなのだろうと推測します。まさに一年間の無病息災を祈る「ハレ」の姿ですね・・・。

🔥違うものだけど、どこか共通する「火の神」と「日の神」

今回は「火の神神楽って鬼滅の刃っぽいな」と思い調べていくと、意外にも「かまど」という重要キーワードの共通点があるとわかりました。もしかすると作者の吾峠呼世晴さんは火の神神楽をご存知で、それを発展させて竈門家や「日の神」「日の呼吸」を考案されたのかもしれないですね・・・。なんて胸のアツい話・・・!

そんなわけで「ヒノカミ神楽かっこえぇ~」と思った方はぜひ、ゆかりのある椎葉村の神楽もご覧いただければと思います。椎葉神楽は国の重要無形民俗文化財にも指定されており、冬の夜神楽はいつぞや観ていただく価値があると思いますよ~!

椎葉神楽の中でも26種あって、そのなかで継承されている・いない・・・神楽祭をやる・やらない・・・と千差万別な神楽。まずは椎葉村の民俗芸能博物館へ行くなどして、お気に入りの神楽を見つけてみるのが良さそうです!
(最近は土日休みなので、ご来館前に開館状況をお調べいただけますようお願い致します)

日本三大秘境椎葉村で、お待ちしておりま~す👺🔥