箱
私は晴れて、ふたりに対する役目を終えました。
私はそれから、ふたりのことに立ち入らないように、つとめていました。
ですが、一度、まがさして思慮のないことをしまったことがあります。
睦夫さんは、あまりにも出来た人です。
私はふと、もしかしたらと思ったことがありました。
男性は、性行為を我慢をするのが、つらいことだと聞いたことがあります。
睦夫さんは、性的なことに興味がないのではないかと。
そしてそれは、小春が恐怖症を克服したときに、傷つくことかもしれないと。
SNSに睦夫さんの友人がおられることを、以前から知っていました。
私はあとさき考えずに、その睦夫さんの友人へ、DMを送りました。
ですが、睦夫さんが性的なものに興味あるか、なんて聞けません。
私は、睦夫さんはどんな女性がタイプかを、聞きました。
かわいくて、背が低くて···
小春と一致していました。
そして、やり取りしているうちに、睦夫さんの友人の方が、面白がっておしえてくれました。
睦夫さんは、網タイツとパンプスのフェチだと。
私は、睦夫さんも性的な欲求がちゃんとあることがわかり、安心したのです。
同時に、小春のために、こらえていることも。
小春は網タイツやパンプスを、履くタイプではないです。
私は、小春へ伝えました。
睦夫さんが、網タイツとパンプスが好きだということを。
「睦夫さんの友だちから、偶然きいたけど、内緒ね」
私は、そうごまかしました。
小春が網タイツをはいてるところなんて、見たことなかったです。
だけど、小春は網タイツも可愛くはけてしまうんです。
そして、はいていった日のデートの睦夫さんは、そわそわしていたと、小春が言っていました。
それ以来、小春は睦夫さんに会うときに、網タイツとパンプスを履くことが多くなりました。
私がやったことは、結果的に、いいほうへ影響しました。
ですが、それは運がよかっただけだと思います。
よくないほうへ向かわせた可能性も、ありました。
私が、睦夫さんを疑うような事をしたばかりに、いやな気持ちにさせていたかも···
そして、小春との関係に、悪い影響をもたらすことになっていたかも、知れません。
私は、自分の浅はかさに、うんざりしました。
続き
English ver.
朗読
朗読 YouTube ver.
朗読 koneko ver.
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?