カードバトルと商談

ビジネス上の交渉の場とトレーディングカードゲームのプレイは似ていると転がると思う。少しこじつけかもしれないが、時折そういうことを感じるのは、ともに2人の非完全情報ゲームであり、相手の持つ選択肢をどのように予想するか、選択肢最後まで残して置けるか、適切なタイミングに適切な提案をできるか、などはカードプレイと比較しても、よく似た状況であることがわかる。

結論から申し上げると、トレーディングカードゲームはビジネス交渉術を学ぶ上でとても気軽にスキルアップできる良い手段だと感じる。また、こちらから提案する商材をプレゼンする上でのプロジェクトの構築もデッキ構築と同様であり、その時提案できるものを選択肢として頭の中に保持していないといけない。しかし、すべての選択肢を早々に提示してしまうと、相手からの提案に飲まれて、事情の悪い提案でプロジェクトを開始することになりかねない。

そこに勝ち負けはないが「プロジェクトのイニシアティブを握る」「有利な方向にもっていく」というときは、会社や商材の質(カードプール)を見ながら、適切にプレゼン内容を決め(デッキ構築)、商談の場で相手との話を見ながら(対面でカードを構えながら)相手の話を聞いて予想される展開を吟味し(相手が置くカードでアーキタイプを知り)常にこちらの望む方に提案をしていく(カードキャスト)。

コンバットトリックで状況をひっくり返すこともあれば、全除去されることもある。注意しよう。ちなみにライブラリーアウト戦略もある。こちらの提案が相手より長く続けば、場に生き残れる。デッキに枚数制限はない。しかし、絞ったほうが相手の興味を突きやすい。スパイがいれば内情を見られることも(ピーピング)。

とはいえビジネス上のプレゼンや商談の場において、実は準備した情報よりも、プレイヤー本体の情報のほうが相手に刺さることが多い。「プレイが適切か」「思い切った判断をできるか」というところで、刺さることもある。ビジネスというカードゲームは決して単発の勝ち負けで理を得るわけではなく、ある程度長期的な目線も必要なのだ。

そして最も重要なことだけど、よくある勘違いがある「準備した情報は全て見せたほうが、良い結果につながる」という誤解だ。これは全くの逆であり、実際は「見せる情報量をいかに少なく、商談を成立させるか」を実践できないといけない。情報は有利な情報だけではない。こちらが有利と考えていても、提示した途端相手に有利になることのほうが多い。情報がどのように作用するかは、コントロールできないものだ。

この観点を、味方が複数いた場合に共有できていないことが多い。私もよく経験した。味方が勝手に情報を提示するのだ。これが不利につながってきたケースが何度もある。なのでプレゼンの場は可能であれば一人で出向くのが良い。集団プレーは、その場の最低値を持つもののパワーが採用されてしまうからだ。

自分ができる人間だと信じれるなら、一人でプレイしよう。


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