どうやって生きていくか。どう生きてきたか。vol.4

進級し、クラス替えとなった。

密かに願っていた【うーちゃんと同じクラス】は叶わぬ夢となった。恵夢はこの先もずっと叶わぬ夢を願うがことごとく弾かれる運命なのかもしれない。

変わらず人気者なうーちゃんの周りは常に男女共に囲まれていた。恵夢には入り込む隙がなかった。どんどん遠くなるうーちゃん。気づけばうーちゃんの隣には常時、トラが居るようになっていた。

トラとうーちゃんは校内でも1・2番な長身だった為この2人が並んで歩いていると目立つのは言うまでもない。そんな2人の脇にはキャッキャ❤️と女の子たちが付いて回る。そんな様子を見ているのが辛かった恵夢はうーちゃんから更に身を引くように距離を持つようになってしまった。時々うーちゃんから声をかけてくれたけど、何よりも横にいる女の子たちの視線が嫌だった…。いつの日かうーちゃんの隣にはピッタリと"真美"が側を離れなくなった。

そして更にうーちゃんの人気は止まる事なく先輩たちからもアタックされ始めた。恵夢、撃沈。

更に、強烈だったのは木村から移り変わってきたマサコ先輩と同じ部活の先輩・望美先輩。うーちゃんを呼び出しては休日の約束なんかも取り付けていた。恵夢、沈没。何も言えず、ただ笑顔で応援してます的な姿勢でうーちゃんの惚気話を聞くだけ、心を閉ざす一方だった。

夏休み前の事だった…転校生・栄くんが家庭の事情でまた突然転校していってしまった。お別れも出来ないままだった事が寂しくて、綾芽と何人かの女の子たちと明子先生に頼んで引っ越し先の住所に手紙を送ってもらった。

恵夢はいつもニコニコして話を聞いてくれていた栄くんに少しだけ好意を持っていた。

【好きだったよ、バイバイ】って書いた。

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コロナ禍にある今、有意義な時間を過ごす一つになれればと思います。