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受け口の角度はなぜ30°〜45°か?

ヤモリーズ7期生の中村です。

めちゃ久しぶりのnote更新となります。

最近気にになっていることを書いてみました。

受け口の推奨角度はなぜ30〜45°?

受け口の角度の基準は30°〜45°と規定されています。

僕は受け口を45〜60°くらいの広めに作ることが多いです。

その理由は受け口の角度を浅くすると

・受け口を深く切り込みやすい。
・横方向や上方伐倒の際に跳ね上がりのリスクが高まる。
・会合線や伐倒方向の確認がしにくい。
・ツルを効かせ伐倒方向を制御できる時間が短い

とデメリットやリスクを感じるから。

逆に受け口を広く(45-60°)する場合のデメリットを考えてみると、

・斜め切りが縦挽きに近くなるため切りにくい
・受け口が浅くなりやすい
・元玉の切り捨て量が増えるため材が無駄になる

受け口を広くすることにもデメリットはありますが、狭くした場合と比べると跳ね上がり等のリスクは少ないと感じてます。

ではどうして教科書等での推奨角度は30°〜45°なのでしょうか。

『伐木のメカニズム』という本にこんな記述がありました。

受け口の角度について 1969(昭和44)年の基準では「30~45°」とはっきりとした角度で示されていません。
林野庁OBの河野晴哉氏(労働安全推進に活躍、緑十字賞を受賞)によりますと、「受け口について林災防の規定はスギ、ヒノキなど針葉を対象とした木曽の伐木法を手本にしていて、元玉を経済的に採材するため、受け口の角度 45°というのは抵抗があり、最低30~35°という規定であった。国有林を中心に広葉の倒の際は安全のため45°程度に広く作られてきたのと整合性を取って現在に至っている」とのことでした。
また、斧で受け口を作る場合には刃物の切削角度として45°程度がもっとも効率が良かったのでしょうが、受け口の角度が重要であるという記述は見られませんでした。現在では元玉の価値も変化が見られます。大径木や高級材以外は大きな角度の受け口を作っても問題がない状態になってきています。現状に合わせてどの角度にすればよいのか、海外の指導方法を含めて見直す必要がありそうです。

上村 巧,『伐木のメカニズム』全国林業改良普及協会,2020

なるほど。安全性との兼ね合いや斧での伐倒の名残り?もありそうです。

自分的には30-35°ではさすがに浅すぎるかなと感じます。

受け口が閉じるとツルが切れることから、
「受け口の角度=ツルが曲がれる角度」と言えます。(スギの場合もっと早く切れそう)

受け口の角度が大きいほどツルが木を保持するため伐倒方向が安定します。
元玉を跳ね上がらせたくない場合や、伐倒方向を正確に狙って倒したいときに特に有効だと思います。

木や山の状況に合わせて、受け口の角度や伐倒方法を使い分けていきたいと思います。

【参考文献】
上村 巧,『伐木のメカニズム』全国林業改良普及協会,2020


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