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裏積工をつくるときの4つのポイントについて

4期生の大賀です。

今回は「裏積工(うらづみこう)」をつくるときのポイントについて書きます。

裏積み工とは、山側の法面に設置する木組みのことです。

どうしても山側の切取り法面が高くなる場所(ヘアピンカーブなど)は不安定になります。

裏積工を設置することで不安定な山側の土を一時的に安定させて、緑化をうながします。

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裏積工は路面より上に丸太と土を積み重ねていくため、転圧がむずかしく丸太の移動もたいへんです。

いろいろ注意すべきポイントはありますが、4つ挙げます。


①準備した丸太の配置場所

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裏積工はたくさんの丸太を使います。準備した丸太をどこに置くか。

基本的に上のものを下に移動させるのがいちばんラクなので、坂道であれば上り側にまとめて置きます

横木をカットして運ぶのもラクになります(路面処理工をつくるときも同じ)。

ただ、バックホーが転圧などで前後移動するスペースがある程度必要なので、丸太が近すぎるとやりにくくなります。


②もとの路肩の位置を見失わないために

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裏積み工をつくるには、2.5mの幅員を出したあとの山側の法面をさらに深く削っていくので、大量の土が出ます。

土で路面が完全に隠れてしまうので、もとの路肩の位置(=幅員と路面高が決まる位置)がわからなくなります。

これを解消するには、あらかじめ路肩に路面処理工を設置しておくこと。

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路面処理工の桁丸太があることで路肩の位置を見失わず、そこから2.5m内側を測れば裏積み工の土台丸太を設置する位置が逆算できます。

最後に土を処理してもとの路面に戻すときも、路面処理工という基準があるのでかんたんです。

この方法は先輩の有村さんから教えてもらったポイントで、なるほど!と思いました。

ただし、ヘアピンカーブ内など掘割になる場所ではこの方法は使えないので、なにかしら基準を決めておく必要があると思います。


③バックホーが作業するときの向き

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裏積工は路面より高い位置に土を積み重ねていくので、「土をバケットですくって入れる」という操作を繰り返します。

土をバケットですくうには上り向きより下り向きのほうが確実にやりやすいので、基本的に下り向きで操作します。

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また、バケットですくうために土を集めたい場合、排土板が前にあればいっきに土を集積できます。

下り向きで機体バランスを保つためにも、排土板は前側にしておきます。

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ちなみに前述のように、丸太は上り側に配置してあるので、丸太をバックホーで移動させるにはいったん旋回する必要があります。

これは手間かもしれませんが、法面を崩して出てきた土や石が下に転がる可能性なんかもあるので、やはり丸太は上り側に置いて作業したほうがいいと思います。


④木組みの間に密に土を押し込んで締め固めるために

最後に、「横から土を押し込んで締め固める方法」についてです。

写真をいくつか見比べてみます。

↓僕がつくった裏積工

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↓途中まで僕がつくって、有村さんが仕上げた裏積工

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↓岡橋さんがヤモリーズ現場でつくった裏積工

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僕のとくらべて岡橋さんと有村さん作成の裏積工は、木組みの間にギッチギチに土が詰め込まれていてかなり頑丈そうです。

これは上から転圧するだけではつくれません。どうつくるか?

かんたんに説明すると、

バケットで土をすくってこぼれた土や、切り取りを崩して落ちてきた土を利用して、木組みの前に法面を形作り、それを横からバケットで転圧する

です。

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法面になる土が足りなければ、土をふりかけてかさ上げしていきます。

くわえて、横木を斜めにカットしておけば転圧の邪魔にならず、全面的にやりやすくなります。

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横から転圧するのは幅員が狭いとむずかしいですが、後方小旋回タイプでもブーム付け根の折りたたみ機能でリーチを短くしてやればけっこういけるそうです(有村さん談)。


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以上、裏積工のポイント4つについてでした。

個人的には、裏積工は木組み(路面処理工・土留工・裏積工)の中でもいちばんクセがあって、設置するのがむずかしいです。


おわり。


書いた人:大賀圭介

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