ソメイヨシノとケイオウザクラ
写真:左:ソメイヨシノ、右:ケイオウザクラ
花托筒か萼筒か
ソメイヨシノの開花期は3月末頃からであるが、ケイオウザクラはそれよりも早く3月初旬頃である。花は、花芽が形成されてから、緑色の花柄が伸びていき、先端に筒状の萼が形成される。この筒状になった萼を「萼筒」という。筒状になった萼は花を托していることから「花托筒」とよばれることがある。
花冠(一つの花のはなびら全体を指す)の外側の部分を「萼」というが、サクラの場合、花柄は小花柄の先に花托筒が形成されたものとなる。
花托筒は中に子房があり、子房の先から花柱が伸び、柱頭が花の中程に出る。周りのオシベの葯から花粉が出て虫などによって媒介され、受精する。受精すると、果実となり、熟してタネを形成するが、サクラはその前に結構小花柄ごと落花するし、熟すると、鳥が啄みに来る。
サクラの花托筒あるいは萼筒の比較をすると(写真参照)、ソメイヨシノの場合、小花柄は長く、花托筒あるいは萼筒は細い。ケイオウザクラの場合、小花柄は比較的短く、花托筒あるいは萼筒は比較的太い。花弁はソメイヨシノの方がケイオウザクラに比較して大きい。
花托筒あるいは萼筒の先には「萼片」が5枚あり、萼片と互い違いのように花弁(花びらのこと)が付き、咲いていく。サクラの花弁は緩やかに湾曲しており、散るときにひらひらと舞い、舞ながら落ちてゆく様子を好む人も多い。
参考文献
・近田文弘(2016)『桜の樹木学』技術評論社、79頁。