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ごくうが行く:ラッキョウを貰った

標題画像:https://cookpad.com/recipe/1868623から。

おび

ごくうが来て2年が経った頃、もうごくうは慣れた場所のように散歩している。散歩コースは3通り程ある。今日は下りの散歩コースを採った。キングとさくらの散歩コースに近い。橋を渡って、お友達のニハルちゃんのホームの側を通り、交差点に近いところまで来た。

前から80代、いや90前と言ってよいおばあさんが来た。おばあさんと言っても背中がまっすぐである。小柄なおばあさんはごくうを見ながら近づいてきた。ごくうを可愛がるかなと思いながら成り行きを見ていると、おばあさんは持っていた瓶を持ち上げた。

「そこでらっきょうを貰ったんじゃけど・・・」

夫婦で顔を見合わせる。ごくうはお構いなくマーキング。

「貰ってくれんじゃろうか。」
「重たいけー、持って帰るのが辛いんよ。」

みれば、大きなラッキョウ瓶である。かなりラッキョウが入っている。もう1年は優に経過している。ラッキョウを漬けている溶液が黄色く色づいている。

「それは大変ですね。・・・」

言葉を濁すしかない。夫婦で顔を見合わせながら、

「折角貰われたんでしょう。」

持って帰られたらと暗に応える。

「そう・・・」

おばあさんは無理と思ったのか諦めて歩き出した。おばあさんを見送るように見守っている。ごくうは同じところでマーキングしている。なかなか次に行こうとはしない。間が少しあった。おばあさんは20メートルくらい歩いていた。

夫婦で顔を見合わせる。

「貰っちゃげようか。」

妻が急ぎ足でおばあさんに追いついた。おばあさんからラッキョウの瓶を預かり、戻ってくる。おばあさんは、ラッキョウが貰われ、身軽くなったのか、軽い足取りで橋を渡り、歩き去った。

ラッキョウの瓶を受け取り、ごくうは妻がリードを持つ。ごくうはお構いなしに歩き、マーキングする。ラッキョウの瓶を持っていても、ごくうは好き放題の散歩コースを採る。

重たいラッキョウの瓶でも、帰って食べてみると、美味しい。

「おばあさんは楽になったじゃろうね。」
「貰ってあげてよかったね。」

ごくうはいつものルーティンを済ませて、散歩後にクゥクゥと寝ている。

おび