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ごくうが行く:目の前に

2日前、散歩が遅くなった。生憎の曇りだ。ごくうはいつも通る信号で先を急いでいる。押しボタン式信号を押さなければ、前に進めない。見ると、若い固肥えの男性がすでに信号待ちしている。

「がたいのしっかりしている人だなぁ」

コンビニの袋をぶら下げている。その横で、ごくうは信号待ちに入った。若い男性がごくうに気が付く。信号が青信号に代わった。男性に続いて、ごくうも信号を渡る。信号を渡り終えるとき、若い男性はコンビニの袋を持ち替え、ごくうを撫でにかかった、歩幅を縮め、軽くごくうを撫でる。

珍しくごくうの年齢を聞く。「何歳ですか」
「9歳です」
「うちにも犬がおるんよ」
ごくうは逆立ちマーキング。若い男性はもう一度ごくうを撫でにかかる。
ごくうも急ぎ足。若い男性もはやく犬に会いたいのか、足早に去っていく。

* * *

1日前、早く散歩に出る。家を出てすぐ、曲がり角を回ると、坂下に黒いワンちゃん(フレンチブルドックらしい)が母親と娘に連れられて上がってくる。数日前から家の前を家族4人がワンちゃんを連れて散歩していた。今夕は二人だけ。

親娘は用心していたが、ごくうはお構いなし。黒いワンちゃんも腰が引け気味だけど、本能で分かるのか、避けようとはしない。娘(小学3年生くらい)が「かわいい」といいながらごくうを撫でる。それも慈しむように。犬が相当好きそうだ。もうお姉さんの様にごくうを優しくなでる。黒いワンちゃんも警戒もせず、ごくうに近寄る。母の安堵の雰囲気が伝わってくる。

月が出る前に散歩から帰ったらしい。

* * *

28日の夕方前、図書館から帰り、いつもの妻の昼寝。それに付き合うわけではないが、昨夜の遅い夜から取り返すようにお昼寝、いや夕寝。起きてみれば、5時をかなり過ぎている。水やり不足でツツジを10数本枯らしてしまった。念入りのツツジの水やりでごくうの散歩が遅くなってしまった。もう薄暗い。

ごくうは歩くべき道の選択を間違えない。今夕は坂を上がるコースを選んだ。もう中学生の下校時間を過ぎている。中学校のグランドを回り、旧山陽道沿いに上っていく。里山の入り口には、ミツバツツジと雑種のツツジが生えている。左側には姫竹が密集し、さらに進んで右側には木々に紛れて立ち並んでいる。里山の林縁部を抜けると、人家が見え始める。

目の前を自動車がすり抜けるように通り去る。数歩歩いて、見上げると視界が広がり、東南東の方角、やや視界の上に「満月」が。(今日は中秋の満月!?明日らしい)

案の定、kojuroは黒部の地ビール「黒部の月」の余韻に浸りながら、「今宵の月に」祈っている、(リトルkojuro言)はず。

*次回「この街のどこかで」日暮里かな。夕焼けもあり。