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朝は涼しい茗荷の子-山頭火

*芽生(めい)は名前。

「ミョウガは雑草並みに生えて来ちゃうんですね(;_;)」

ミョウガは多年草で、地下茎が伸びて広がっていく。地下茎を掘り起こすと、ショウガを思い出させる色と感触が伝わってくる。

芽生はお盆に実家に帰るのが習わしだった。帰省した翌朝、食卓に茗荷が添えられている。

母が栽培というほどはないが、庭の片隅で植え付けていた。茗荷は藪状になった草むらまで蔓延っていた。少し湿気がある。酸性土壌に合うのか、乾燥しきった場所よりも青々とし、生きのよい葉が並んでいる。

母は茗荷の茎を手繰りながら「茗荷の子」を探している。茎の根元に茗荷の子が顔を覗かせている。尖った帽子が衿をいくつか持っているようだ。中には花穂が伸びているものもある。

(私も好きだが、あの子はもっと好き・・・)

母はいつもより丁寧に、茗荷の子に、生姜、紫蘇、ねぎを添えて盛り付けた。朝の食卓に茗荷の子の涼しい香りが広がる。茗荷の子には「α-ピネン」の香り成分が入っている。ミョウガの特徴的な精油成分だ。血流を改善したり、神経を鎮めたり、食欲を増進させる効果があるという。

寝起きの芽生をくすぐる。

(茗荷の子は最高!・・・幸せ!)

芽生は頭の中で呟く。涼やかな朝日が射してきた。

参考
*「ミョウガ(茗荷 、蘘荷、学名: Zingiber mioga)はショウガ科ショウガ属の宿根性の多年草 。ミョウガの英名にJapanese Gingerがあり食用で栽培されているのは日本だけとされる 。」(wikipedia)

*湿気は好まないが、日当たりのよいところも好きではない。半日陰の場所で育てるとよい。家の庭のミョウガ鉢(大き目)は南向きに配置されている。繁茂はするが、芽付きがよくない。それに鉢の中では、放置しておくと、密集し、窮屈そうだ。多少間引きが必要なようだ。