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スパゲティな日

晴れているというすがすがしさを
はっきり感じる日が欲しい

晴れの日がいつか雨に流されていった
いのちが晴れる日に返ってほしい
晴れの日の手触りに返ってきてほしい

手のひらにいつまでも乗っていた
少年の日の陽だまり
木の葉の揺れに乗っていつまでも揺れていることがあった
いまでも極寒の地にさえ残っているはずの陽だまりが
いまここにはない

場内放送を引き裂いて
4番線に滑り込んできた地下鉄
に乗り込む

いつまでも慣れない
日溜まりのない職場にのぼる
全面ガラスでよろわれているので
ビルはいつでも晴れあがっているとひとは言うけれど

エレベータで最上階に運ばれる
ここでの混雑には日が差す隙間がない
急発進し急停車する
垂直に移動する時間の箱
床に押し付けられた呼吸が
固まって停止する

最上階には食事を待つ巨人
エレベータで運ばれる人間たちの呼吸のゆるみを待てずに
大きな手を伸ばして
味付けにと
わたしたちの顔にタバスコをふりかけはじめる

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