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Vital Sign~血圧①~

皆さんこんにちは、理学療法士の堤正裕です。

今回から少しずつ色々まとめていこうと思います。

内部障害に関連することを、内部障害が苦手な理学療法士や学生さんにもわかりやすくお伝えすることが出来ればと思っています。

臨床におけるVital signについ色々とまとめていこうかと思います。

初回は「血圧」 についてです。

ただ、血圧だけでもお伝えしたいことがたくさんあり、1回分でまとめようと思ったら膨大な量になりそうだったので、皆さんに分かりやすく、シンプルに伝えるには、少し分割して発信していこうかと思います。

皆さんは、血圧と言われるとどういうイメージをお持ちですか?

リハビリ職に関して言えば、循環器疾患はもちろん、脳外科や外科、整形外科の術後初回の離床時、急変時やICU・HCUでの早期離床時など。

離床・中止基準、負荷量設定やご本人の調子の良し悪し・・・など
指標として、普段の臨床場面で数多く測定されてきたんではないでしょうか?

また、医師や看護師…など、職種は違えど全ての職種において、共通言語で話をすることができる評価項目です。

特に臨床経験が浅いときは、血圧の意味などの考えもせず、「”とりあえず”血圧測りましょう。」とか、ひどいときは血圧も図らずに理学療法を提供していたときもあります。(←今思えば恐怖でしか無い笑)

1年目終わり頃から勉強会でVital Signの内容について学んだ時に、如何に今までの自分がリスク管理を怠っていたか、怖く、情けなくなりました。

それから毎日、毎回、強迫観念かのように(笑)、私も循環器疾患患者を含めてほとんど全ての患者さんの血圧測定したときは、アネロイドの血圧計を何回買い直したことか…笑

ということで、今回は皆さんが良く臨床で使われる血圧について

臨床的な目線で?シンプルに?       お伝え出来ればと思います。

血圧とは

血圧は何を意味しているのでしょうか。

教科書的には

血液が血管壁に与える血管内圧のこと

一般的には大動脈などの太い血管の圧力を示します。

なんか堅い感じがしますよね・・・

私自身がイメージしているのは、

蛇口に装着されたホースです。

蛇口からの水を出す機能=心臓
ホース=血管(末梢血管)

と捉えると分かりやすいかもしれません。

血圧は・・・

血液を駆出するための心臓の機能

血液をスムーズに通すための血管の機能

を見ているものです。

つまり血圧に何か異常がある場合には、

心臓か血管にどちらかに問題がある

と考えるようにすると良いでしょう。

血圧=心臓ではありません。
もちろん心臓の機能も重要ですが…

まず皆さんに覚えてもらいたいのは、↓の式です。

血圧BP=心拍出量×全末梢血管抵抗
BP=blood pressure

はい。これです。笑

これは電気の法則と同じです。
電気の法則(オームΩの法則)にならい・・・

電圧V=電流I×抵抗Rとなります。

電圧という血圧は、電流という名の血流と、抵抗(末梢血管抵抗)を掛け合わせると得られます。
小学生?中学生?でもやりましたね!

ただ、これだけ覚えてもあまり良くわかりませんよね。

次から上の式をそれぞれ、分解していこうと思います。

心拍出量

まずは心拍出量からです。

心拍出量とは、

1分間あたりにどのくらい心臓が動いて、
体全体に血液量を送り出しているか。

と考えます。
以下の式を覚えましょう。

心拍出量CO=一回拍出量SV×心拍数HR
CO=Cardiac Output
SV=stroke volume
HR=Heart Rate

心拍出量を分解してみました。

それぞれの意味は

一回拍出量:心臓から送り出される1回あたりの血液量(ml)
心拍数:1分間あたりの心臓の拍出回数(回/min)

となります。

どうでしょう?
少しイメージつきましたか? 楽しくなってきましたか?笑

さらに一回拍出量は、

一回拍出量=心収縮力×拡張能×前負荷×後負荷

となります。笑
さらに良くわからない??笑

一回拍出量を分解してみました。

一回拍出量は、上にも書きましたが、心臓が「ドックン」と一回音を立て時に送り出すことのできる血液量となります。

そしてそれは以下に影響を受けます。

一回に送り出される血液量は、
心臓を送り出す強さ(心収縮力)
血液を受け入れる容量(拡張能)
血液がどれだけ心臓に返ってくるか(前負荷)
血液を送り出すときの送り出しやすさ(後負荷)

に影響を受けます。

それに心拍数含めると以下のように

心拍出量=一回拍出量(心収縮力×拡張能×前負荷×後負荷)×心拍数

となります。

全末梢血管抵抗(末梢血管抵抗)

次に全末梢血管抵抗についてお話します。

全末梢血管抵抗とは

動脈に血液が流れるときに生じる抵抗の総和です。

この全末梢血管抵抗は、次の因子によって変化していきます。

1.全身にある末梢血管の床の面積=どれだけ広いか、狭いか
2.血管壁の柔軟性=やわらかさ
3.血液の粘性=ドロドロ具合

末梢血管が収縮すると、心臓から出た血液が送り出される通り道が狭くなりますので、より心臓の拍出量を強くすることになります。逆に広いと血液を送り出す時に必要な圧力はそこまで必要ありませんから血圧は低下します。

また血液が血管の中を移動する際は、血管が軽く膨らみます。その血管の壁の壁が堅いと血管の内壁もボコボコになり、膨らみにくくなるため、血液を送り出すために圧力を上げなればなりません。

血液の粘性については、血液がサラサラだと、血管内をスムーズに移動できますが、ドロドロしていると流れる速度が遅く、それ自体が血管内の血液移動の抵抗となってしまうのです。

後負荷と末梢血管抵抗の違いは何なのか皆さんも疑問に思っているかと思いますが、ここでは、後負荷=心室から出た後の大動脈の圧力末梢血管抵抗=指先まで含めた全身の血管抵抗と捉えていただけると分かりやすいかもしれません。

こうしてみると、血圧1つとっても様々な因子が絡んで、調節されていることがわかりますね。
また、上記の心拍出量や末梢血管抵抗は、自律神経や体液性の調整により(後ほど記載します。)、血液が流れ出る血液の量や血管内の太さを変えながら、血圧の調整に関わっています。

上記が血圧に関与する因子たちなので、血圧の上昇・低下と言われたら、上の式の成り立ちが、瞬時に思い浮かぶと良いかなーって思います。


何が影響して血圧が変動したのか。常にそのアセスメントを行いながら、リスク管理を実施し、理学療法を提供できると良いのではないかと思います。

上の式はあくまでも私が覚えやすいなーと思った考え方なので、
他にも色々覚え方はあると思いますが、数学みたいに分解していく楽しさが心臓の分野にもあると思ってやっています。

ここまで理解して頂ければ良いんですが、余力がある人は次回、それぞれの因子をまとめたものをまた投稿したいと思いますので、また見に来てください。

まとめ

血圧は蛇口とホースのイメージで捉えよう
血圧の式を覚えよう
 血圧=心拍出量(一回拍出量×心拍数)×(全)末梢血管抵抗
一回拍出量は心収縮力、拡張能、前負荷、後負荷に影響を受ける。
末梢血管抵抗は末梢血管の広さや狭さ、血管の柔軟性、血液の粘性により影響を受ける。

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