#44 医療者が逃げたから?

いまだ日本はコロナという空騒ぎから抜け出せずにいる。

世間やメディアは、コロナ関連の話題作りに躍起だ。

クラスター・・緊急事態宣言・・まん防・・変異株・・オリンピック・・ワクチン・・人流・・・
次はどんなキーワードをひねり出してくるのか、
そして、いつまでこれを続けるつもりだろうか。

さて、そんな中で、TVなどをみながら感じることがある。

それは
「なぜ病院じゃないところでこれをやっているの?」 
という疑問だ。

① 入院調整

 これは保健所が担っている。
 指定感染症である以上、そういうシステムになっている。でも普段からの搬送調整に慣れていない保健師がこれをすることは果たして効率的といえるだろうか。
 普段なら、病院(の各診療科や救命センターなど)に連絡が来て、それらに慣れた医者や看護師が調整をしている。近隣病院のスタッフとの慣れ親しんだ関係性の中だからこそ、スムーズにことが運ぶことも多い。救急隊との連絡調整も慣れているからこそ、搬送準備もできる。
 これだけのPCR陽性者の数を、慣れていない保健師が行うことは非効率だ。

 ※ 保健師がいけないと言っているつもりは全くない。現に、保健師さんや保健所スタッフがめちゃくちゃがんばってくださっていることは間近にみているし、彼ら彼女らのがんばりには本当に頭が下がる思いだ。ただ、コロナを災害から日常に戻すためには、慣れた者にもとに戻すべきだということを言いたい。

② ホテル療養

 指定感染症かつ得体が知れない最初の対応としては、この選択肢もやむを得なかったのかもしれないが、さすがにこれだけコロナの正体がわかって、感染も広がった今もなおホテルで療養させる意義があまりわからない。

 看護師が派遣されて、健康観察を一応しているということだが、ただお部屋に閉じ込めているだけのように感じる。

 入院が必要なら入院させればよいし、自宅で診れる程度の症状であれば自宅で診て、症状がひどくなったら病院を受診していただければよい。それがこれまでの日常だったし、その方がよっぽど安全だ。

③ 在宅療養者の健康観察

 先日TVで、酸素を自宅まで届けている映像が流れた。異様だと思った。

 酸素が必要なら入院させてあげるべきだ。それを指定感染病棟でないからみれないということが、果たして倫理的に許されてよいのか、と思う。クラスターになったら、介護法人施設であろうと、そのまま籠城しているケースもある。(もちろん指定感染ベッドではない。)
 
 在宅療養者に、保健師が電話をかけ聞き取りを行う。これもあまり慣れない仕事だろう。これは必要ないとまでは言えないと自分は考えているが、もっと気軽に病院受診できる体制になれば、この役割は縮小していくはずだ。 そして保健師や保健所スタッフの負担は減ることになる。

 今までどうしてたかというと、状態悪化が懸念される場合は、病院が再診を早めに設定していた。不安な場合は、翌日に受診していただいていた。もしくは症状悪化時には、近くのどこかERを受診することができた。 

 コロナでは、再診予約を取ることがまずできない。ER受診も断られうる。だからこそ、自宅で急変などということになる。急変は、コロナが悪いだけではない。病院の準備ができていないからだ。


④ ワクチン接種

 大規模接種センターが多数立ち上がっている。職域接種も始まった。
 各会場に医者や看護師が派遣され、(税金から)高い給与も払われている。
 慣れていないメンバーで準備し、医療者も慣れていない環境で接種する。これも非効率だ。

 普段は、各病院や開業医さんなどで予防接種は行っている。毎年インフルエンザワクチンは、数か月で多数の国民に接種できている。慣れた病院やクリニックで接種する方が準備や作業もスムーズだと思う。

 なぜコロナだけ特別に別の場所で接種するのか。明確な理由を僕は知らないが、不自然さを大いに感じている。


ここまで述べてきたが、これら、①~④に共通することは何か。

その答えは、「医療が逃げたから」と僕は感じている。

つまり、搬送調整も、再診予約も、健康観察も、ワクチン接種も、本来は病院やクリニックでの医療者の仕事だ。それが本来だったし、その方がよっぽど慣れている。

でもそれを病院・クリニックでしないからこそ、他の部分でそれを行わざるを得なくなり、効率も悪いし、多くの関係者が走り回っている。

こうなった構造的な理由は、もちろん指定感染症であるという理由が一番大きい。

ただしそれだけでなく、医療者もコロナを極度に恐れ、特別扱いし、敬遠する。ぶっちゃけコロナに興味がない医療者も多いだろう。コロナとできれば関わりたくないと思っている方も多いだろう。

繰り返し言う。

医療者がこんなに一つの感染症から逃げ回ってよいのか。

そのつけが、行政や保健所スタッフ、会社関係者、多くの市民にしわ寄せがいっている気がしてならない。