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前編【社会人独学合格】なるべく費用をかけずに短答式試験に受かる方法(公認会計士) ~実務を意識した資格取得~

後編は下記よりご覧ください。

0. 筆者の受験歴

  • (26歳)202x年3月:勉強開始

  • (26歳)同年6月:簿記1級合格

  • (27歳)同年12月:短答合格

  • (28歳)翌年8月:論文合格

身バレ防止のため時期は濁していますが、いずれも初回受験で社会人として働きながら、短答合格までは予備校を使わずに独学で受験しています。
※論文はCPA会計学院で対策実施。

1. 想定する読者

このnoteの想定する読者は、以下に挙げる通り、かなりニッチでピンポイントです。

・会計に関連する業務を経験したことがあり、資格取得によりスキルアップを目的とする方(最低でも簿記2級相当の知識を有する)

・社会人合格を目指しており、相応の地頭を有している自負のある方

・デジタル教材を使った勉強に抵抗のない方

一方で、下記に該当する場合はスピードや確実性を優先した方が良いので、このnoteを読まずに独学を諦めて予備校での受験をオススメします。

・会計に関連する業務を経験したことがない方

・学生(とくに新卒で監査法人に入社したい方)

・現在既に離職中/もしくは転職活動中の方

想定する読者に該当しない場合は、その部分を割り引いて参考にしていただけると幸いです。

2. ベースとなる考え方

タイトルにもある通り、本記事のキーワードは「①社会人独学合格、②低コスト、③実務を意識」です。

先に結論として、そのために必要なことを一言でいうならば、「試験範囲を意識しながら、過去問を高速で回転させる」に尽きます。

使い古された考え方かもしれないですが、やはりこれが王道であり最善だと思います。

ただ、重要なのはそのやり方です。

3. 全体スケジュール

長丁場になる会計士試験のスケジュールを検討する上で大事な観点は、「勉強のモチベーションをどう維持するか」です。ただでさえ、孤独な戦いになりやすい独学であれば尚のこと。

対策としては、「マイルストーンを設けること」が重要となります。具体的には、簿記1級試験の活用をオススメしています。大まかな思想としては下記記事が参考になるかと思います。

会計士試験は科目合格制である税理士試験などと違って、短答に落ちてしまった場合に経歴として何も残らないため、それがプレッシャーになってしまう可能性が高いです。

簿記1級は、試験範囲が会計士試験の財務会計論と管理会計論と重複していることから、途中の実力チェックとして使うことができます。取得できれば経歴にも反映されるので、一種の保険として安心材料になります。

よく簿記1級は会計士試験と問われ方が違うので、遠回りであると指摘されますが、実際それはその通りの側面もあると思います。ですが、今回想定する読者の方々にとっては試験に受かることよりも、実務のスキルアップに繋がることの方がメリットとしては大きいため、むしろその遠回りはあまり気にならないはずです。

以上より、私がオススメする受験スケジュールとしては、下記の2パターンが挙げられます。

  • 6月簿記1級受験→12月短答式受験

  • 11月簿記1級受験→5月短答式受験

社会人独学受験の利点

会計士試験は良くも悪くも相対評価なので、ライバルといかに差別化を図るかがポイントになります。

受験者の大半を占める学生や離職中の社会人と大きく異なる利点は、プレッシャーのかかり方にあると思います。学生や離職者であれば、就職という差し迫ったタイムリミットがあるので、「自分を追い込む」という意味では働きながらの社会人よりも有利ですが、長期戦の会計試験においてそれはメリットばかりではありません。

結局何千時間の集大成を発揮できるのは、年に1-2回の試験の場だけであり、そこで上手く結果を残せなければ「今までの努力が水の泡になる」。その考え自体が実は危険で、資格試験において、万人にとっては適切でないプレッシャーのかかり方であると感じます。

対照的に、スキルアップを目的とした社会人受験生は勉強と実務の紐付きを実感しやすいため、その過程に対して無駄を感じにくい。仮に落ちても、また次チャレンジすれば良い。それでも無理なら予備校に入ることも視野に入れよう。そのメンタル面が、大きなアドバンテージになると思います。

本章の冒頭と矛盾しますが、相対評価の試験であろうが比較対象は「他人」ではなく「過去の自分」であり、心構えとしては絶対評価のつもりで臨むことが大切です。

ステータスが高い状態は、脳が期待するつながりをつくるのを助け、さらにポジティブな神経化学作用を促す上昇スパイラルをもたらす。これは「うまく事が運ぶ」神経化学作用といえる。
(中略)
自分と競争することによって、相手に脅威を与えずに、かつてないステータスの向上を感じる機会が得られる。また、自分の取り組みの進捗(や課題)を相手と共有すれば、つながりの感覚も増やせる。成功を収めている人の多くは、これらをすべて実行し、頻繁に自分との競争をしているのではないだろうか。

出所:デイビッド・ロック著
『最高の脳で働く方法 Your Brain at Work』

予備校生と違って答練や模試といった他人と比較する場がないからこそ、いかに自分の成長を実感できるように可視化して、過去の自分と比較しながら一歩一歩前に進めるかどうかが、社会人独学合格の鍵を握ります。

離職合格を推奨しない理由

少し話は脱線しますが、もし今私が学生で会計士試験に興味があるならば、迷わず予備校に通うと思っています。その一方で、社会人受験の場合は、余程の明確な目標や一発逆転を狙いたいといった差し迫った状況でない限り、離職による専念は推奨しません。

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