温泉とストリップと城だけは立派な町(愛媛・道後の旅 1日目)
夏目漱石の小説『坊ちゃん』の主人公が「ほかの所は何を見ても東京の足元にも及ばないが温泉だけは立派なものだ」と申した道後まで、夫とふたり、2泊3日の旅をしてきた。
青春きっぷを使って、片道約8時間の道のりだった。
道後に滞在できたのはぜんぶで1日半くらい。
それなのに、3日フルで楽しんだかのように満足度の高い旅だった。
流れゆく景色、澄みゆく意識
行きの電車の中では、『生活を再デザインする』をテーマに、いまの生活を細かくパーツに分けたり、新しく加えたいパーツを書き込んだりするオリジナルのワークをやっていた。
細かくて根気のいる作業も、電車の中でなら不思議と捗る。
疲れたら窓の外を眺めて、飽きたら作業に戻って、また疲れたら流れる景色に目を向ける。ふと顔を上げた瞬間に、心ときめく景色が目に入って興奮しながらスマホのカメラに収める。ふと顔を上げた瞬間に、心ときめく景色が目に入って興奮しながらスマホのカメラに収める。
そんな時間を過ごすうちに、霧がかっていた心が晴れて、『自分は何をどうしたいのか』『何に対してどう感じているのか』がくっきり見えてきた。
どうしたらいいのだろう、と外側に答えを探してしまう時は、自分の中の『こうしたい』が見えなくなっている時で、霧さえ晴れればおのずと答えは表れるのだということを思い出した。
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絵と旅する
旅の目的のひとつに、『いろんなシチュエーションでミニキャンバス作品の写真を撮る』があったので、車窓に並べて何枚か撮影した。
当たり前だけど逆光になって上手く撮れなかった。
しかし、窓の外に見える工事現場や線路との組み合わせが面白くて満足した。
その後、坂出で入ったうどん屋でも、盆と器を使ってお茶菓子風の写真を撮った。それがきっかけで、次に作りたいシリーズのテーマやイメージが湧いて、創作意欲も高まった。
それだけでもう十分満たされたので、そこから先はずっとボーナスタイムみたいなものだった。
運よく復活していた
あれは一昨年だったか、同じく夫と青春18きっぷの旅の途中で坂出を訪れた。ひまつぶしに立ち寄った観光案内所で天ぷらのおまけがヤバイといううどん屋を教えてもらって、食べに行ったことがある。
何がどうなってどういうことになったのか詳しいことは忘れたけれど、本当に天ぷらがヤバくて、その時は天ぷらに溺れそうになった。
たしか、曜日や時間帯によって天ぷらがひとつ無料、案内所でもらった特典チケットを持っていくとさらにもうひとつ無料で、それだけでも結構なボリュームなのにその上、高野豆腐を1枚丸ごと使った天ぷらまでトッピングしたせいだったと思う。
特に高野豆腐の天ぷらがおいしくて、うどんもコシが強くてめちゃくちゃ美味しかった。
昨年の暮れに、そのうどん屋がすでに閉店していることを知った。
夫とふたりでとても悲しんだ。
……が、坂出に着く少し前に、同じお店が復活していることに気づいた。
どうやら前の店主が高齢のため店をたたんだ後、息子さんが引き継いで営業を始めたらしかった。
坂出では今回も1時間ほど休憩できることになっていた。
当然、件のうどん屋『饂飩 こむぎや』に向かう。
夫は席に着くなりうどんを注文した。しかも2杯。つめたいのとあったかいの。
わたしはおでんのこんにゃくと卵とおにぎりをふたつ。
大根で野菜を補おうと思っていたらメニューになかったので、こんにゃくは野菜だと思い込むことにした。
夫のうどんを一口ずつ齧ったけれど、相変わらずめちゃくちゃおいしかった。去年、何度か「あのうどん屋でうどんと天ぷらを食べたい」と切望していたのに、当日は気分じゃなかったのでどちらも食べなかった。
人生をかけての問い
自分のコンセプト作りで悩んで参加している翔太塾(感覚派さんのための自分の思いを大切にするビジネスを学ぶ場)の清野翔太さんから、『人生をかけての問いは何か』という別角度からの問いをいただいた。
坂出からの電車旅では、主にその問いについて考えていた。
小学生あたりからの自分をふり返って、違和感を覚えていたことや苦手だったこと、ずっと思っていたことは何かを拾っていく。
『個の幸せの追求』『社会的なことよりも目の前を幸せに生きることに興味を持ちやすい人と繋がりたい』『まず自分から満たす』
といったキーワードが浮かんできた。
コンセプトを考え始めた昨年の11月あたりからずっとコンセプト迷子だったけど、やっと根っこの部分が見えてきた気がする。
コンセプトが定まってくると同時に、『そうだ、わたしのメインテーマは個の幸せを満たすことだった』と思い出して、アートに没頭することや人生を凝縮させることに向かっていた意識が、目の前の時間を幸せで満たしていくことに戻ってきた。
自分の内と外が一致した感じで、すごく楽になった。
目が覚めた感覚だった。
夫婦でストリップ鑑賞のすゝめ
夜は夫と一緒に旅の一番の目的とも言えるストリップショーを鑑賞してきた。細かい感想は別の記事に書いたのでここでは割愛。
未開拓の感性を刺激したいとか、裸体の魅せ方をインストールしたいとか、パフォーマンスとして楽しみたいとか、テーマはいろいろあったけど、一番の収穫はその後に最高のセックスができたこと。
わたしと夫、それぞれ裸体のうつくしさを味わうというか、愛でるというか、そういう感覚を得た(思い出した)ことで、いつもとぜんぜん違った触れ合い、絡み合いになった。
女である悦びを存分に味わい尽くした夜だった。
前から『週に一度くらいは自分の中の性を開放する時間を作った方がいいな~』とは考えていたけど、今回のことで『こんな最高の体験ができるなら、何がなんでもその時間を確保しよう』と思えた。
そんな一日のしめくくり。
ちなみに道後温泉には入らなかった。
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