21世紀の起業家イーロン・マスク
「起業家としての巨星イーロン・マスク」
イーロン・マスクと言えば、アメリカで活躍する起業家の一人であることは誰もが知っている。最も有名なのは、1999年に、大手インターネット決済サービス「PayPal（ペイパル）」を手がけるPayPal社を設立したことであるが、そのPayPalを売却した後は、テスラモーターズやスペースXを立ち上げた。
テスラモーターズは電気自動車の会社で、イーロン氏は会長兼CEOを務めている。また、スペースXは、宇宙事業の会社で、CEO兼最高技術責任者を務めているのが、イーロン・マスクである。
さらに、太陽光発電を行うソーラーシティという会社で、彼は会長を務めている。今や、IT・製造・電気、そして宇宙業界では欠かせない存在、それがイーロン・マスクである。
イーロン氏の主な業績を見てみると、まず、1999年にオンライン金融サービス「X.com」を立ち上げ、2001年にコンフィニティ社という競合の会社と合併し、インターネット決済サービスの「PayPal」として成長を図り、発展を遂げたことが挙げられる。
2002年に、そのPayPalをeBayに売却した後、スペースXを創業し、ロケットを自社で製造。打ち上げ失敗が続くが、2008年にようやく4回目で打ち上げを成功させ、NASAからプロジェクトを受注する。
2003年には、テスラモーターズへ投資家として出資を行い、2008年には財政を立て直すためにCEOに就任し、コスト削減に乗り出した。破産寸前で自らの全財産を出資することを決めた後、投資家たちの出資により救われる。上場後、2012年に発表した「Model S」というモデルがキャンセル続出となり、2013年には工場稼働がストップしたが、なんとか業績回復にまで持ち込んだ。
「エディソンに酷似するイーロン・マスク」
さらに、自然電力会社ソーラーシティの会長に就任し、電力をテスラモーターズのバッテリーによって蓄電して車に充電するしくみをつくった。スペースXとテスラの間でも、仕入れや製造工程に相乗効果を生み出している。特に電気自動車のテスラモーターズでは、製品設計責任者も務めている。
生い立ちを探ると、イーロン・マスクは、なんと10歳でプログラミングをマスターし、12歳でゲームソフトを数百ドルで売却したというIT・製造の天才肌である。自称「ただのコンピューターおたく」と言うが、もともとワーカホリックで24時間働き続ける根っからの仕事人間である。その姿を発明家エディソンに酷似しているという人もいる。
そんなイーロン・マスクは、今でこそ多数の業績が認められているが、それらを達成するために、ロケット開発での失敗の連続やテスラモーターズの業績不振など、いくつもの大きすぎる苦境をくぐり抜けてきた。その根性には目を見張るものがある。
イーロン・マスクという人物が、今後、どこに向かって行くのか、どのような貢献を果たすのか、衆目を集める中、彼の資産は、年々、増え続け、気が付けば世界一の富豪にのし上がっているという運勢を見せつけて、その資産活用が、一体、何を生み出すのか、人類平和か、宇宙開発の夢か、マスク氏の前には多くの可能性が広がっている。
「イーロン・マスクの生い立ち」
イーロン・マスクの生まれは、南アフリカ共和国の首都プレトリアである。エンジニアの父と栄養学者の母の下に産声を上げたのは1971年6月28日のことであった。そしてエンジニアであった父の教育の下に、少年はさまざまなものに興味を持ち、10歳足らずでプログラミングを独学でマスターしてしまったのである。
コンピューターに希望を見いだしていた彼の居場所はもはや母国にはなく、すでに若いころから、アメリカに目が向いていた。当時の南アフリカ共和国に敷かれていた徴兵制度によって兵士となることよりも、海外で学ぶことを決意したのである。
初めはカナダの大学に入学するが、その後、アメリカのペンシルバニア大学に入り、経済学と物理学の学士号を得た。そしてスタンフォード大学の大学院に進学することが決まったものの、2日で辞め、弟と共に「Zip2」という会社を初めて設立した。
「Zip2」では有名新聞社のWebサイトへのコンテンツ提供をする業務を行っていたが、やがてコンパック社に3億ドル強で買収され、その資金をPayPalの前身である「X.com」へ投資することになる。こうして、イーロン・マスクの快進撃が始まったのである。
「起業家たちの超モデル、イーロン・マスク」
多数の苦境の経験と業績を持つマスク氏は、数々の注目すべき名言を残している。その名言は、若き起業家や広くビジネスパーソンにとって、ビジネスをする上での大きなヒントとなるものである。
起業する人々にとって、イーロン・マスク氏は多くを学べる宝のような精神世界の泉であり、その湧き出る言葉は、歴史に残る名言たちであると言えよう。まず、驚かされる印象的な言葉として「超多忙であれ！」というものがある。
この言葉は、南カリフォルニア大学マーシャル経営大学院で行ったという、卒業スピーチでの名言である。彼が弟と共に立ち上げた初の会社では、オフィスに寝泊まりしながら、ひたすら仕事というライフスタイルでった。
「起きているときは常に働く」を徹底し、他の会社が週に50時間働くとすれば、自分は100時間働くことで2倍の差をつけることができるという考え方を持っていたそうである。
イーロン氏の哲学には、“批判の声を大事にし、よく聞き、常に求める”というものがある。普通、批判の声は痛いものであるが、イーロン・マスク氏はそれを積極的に聞き入れ、むしろ自ら求めていくと言う。
これをしないことで、起業しても失敗する人が多いと語っている。「常に批判を求めよ」、これは、なかなかできないという人がほとんどで、できない人は失敗し、できる人は成功すると言っている。
そして、「自分が取り組んでいることは地球にポジティブな影響をもたらす」という言葉の中に現れている彼の強力なポジティブシンキングである。このような純粋な世界貢献の信念が、今日までの大きな業績につながっていると言える。
イーロン・マスクという人物を知れば知るほど、彼の成功は偶然ではないということ、必然性を持った精神世界のウルトラマジックを行使していることが分かる。彼の成功を彼の言葉が証明している。