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ヴィンテージ楽器電子化計画「MeloMIDIca」その⑩(プロトハード完成)

ヴィンテージ鍵盤ハーモニカ「Melodica」をMIDI化するプロジェクト「MeloMIDIca」。前回、3Dプリント部品で鍵盤を組み立てたことろまで書いたけど、ちょっと1点だけ記述抜けがあったんで、その補足から。

鍵盤の「ばね」

オリジナルのMelodicaでは、鍵はばねの弾力で戻る仕組みになっている。厳密に云うとリビジョンによって使われているばね部品は違っていて、初代のMelodicaはトーションばね(ねじりコイルばね)、後期型は途中まで同じトーションばねだけど、途中からコイルばねに変更されていたりする。今回は、初代の実機から流用したトーションばねを使っているのだ。

ばねの弾力で鍵を戻す。
初代のトーションばね(ねじりコイルばね)。

実はコイルばねを使うことも検討していて、鍵の3Dデータにはコイルばね用のポッチも付けてあったりする。トーションばねの手触りが悪かったら、そっちも考えようと思う。そのときには、ばね部品もイチから選定するつもりだけどね。

中に見えるポッチが、コイルばね用の構造。

鍵盤の組み立ては、ばねを押さえながら芯棒の通る穴を合わせるという、非常に根気のいる作業だ。何度もばねを飛ばしてしまっては、床に這いつくばって探し回るという苦行を経て、完成したという次第。ふう。

吹き込み口の加工

残った大きな作業は、吹き込み口と圧力センサの接続だ。Melodicaから流用した吹き込み口に、シリコンチューブを繋ぐための部品を接着する。

基板とフレームには、チューブを通す切り欠きを作ってある。

使う部品は、ずいぶん前にモノタロウで購入済みのミニチューブコネクター。こういう部品はモノタロウで探せば大体どうにかなると相場が決まってる。

穴を開けて、チューブコネクターを挿す。

吹き込み口に、チューブコネクターに合ったサイズの穴を開けたので、接着剤でくっつける。接着剤は、弾性があって密閉性が高いものである必要があるけど、こういうときは3Mを選んでおけば大体間違いがないと相場が決まってる。なので3Mの超強力接着剤を選んだ。

圧力センサと吹込み口をシリコンチューブで繋ぐ。

上の画像ではよく見ないと分からないけれど、吹き込み口の大きな開口部は、テープを貼って仮に塞いである。本来はここもプラ板を貼って塞いでおくべきなのだけれど、吹き込み口の排気をどうするかが未定なので、仮対応のままにしているのだ。

吹き込み口の排気は案外と難題で、吐気は水分を含んでいるから電子部品側に排出するわけにはいかないし、なにより排気抵抗は「吹き味」つまり吹奏楽器としてのプレイアビリティに関わるところなので、バルブか何かで調整できるようにしつつ、外側に排出したいところだ。まあ、それはソフトでブレスコントロール部分を作るときに一緒に考えることにしよう。

ガワを組み立てる

後は、外側パネルをボルト止めするだけの簡単なお仕事。近所のホームセンターで買い込んできた、M2サイズのボルト&ナットで締めていく。

フレーム・基板・パネルは全てM2ボルトで取り付け。

裏側パネルは、スペーサーを挟んで取り付けた。このあたりは、もしかしたら3Dプリントで裏側フレームを作るかもしれない。今後、出力端子やスイッチ・インディケーターLEDの仕様がどうなるか次第かな。

裏側パネルはスペーサーを挟んで取り付け。

そうそう、出力用のUSB端子は、仮に延長ケーブルで外に出している。
実はこれも地味に難題のひとつで、マイクロUSBは絶望的に強度がないので、USB-Aで出したいんだけど、それなりに基板上のスペースを取っちゃうだよね。なので、ストラップの固定方法と合わせて、慎重に決めたい。

仮に、マイクロUSB延長ケーブルを使っている。

というわけで、プロト(rev4)のハードが完成!

表面。
裏面。USBの延長ケーブルは左側から出している。

今後の課題

さてプロトハードがひと通り完成したので、まとめの意味で、先送りにしている課題を書き出しておこう。

  • 息を排出する仕組み(排気抵抗の調整/排出場所)

  • ストラップの固定

  • USB端子の新設?(USB-A?)

  • 設計の微調整(鍵盤位置、穴位置、穴サイズ)

  • 組立てやすさの改善

ソフトを制作しながら、このあたりも考えていかなきゃね。

というわけで、次回からソフト編です!

(次回に続く)

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