遺志
⚠️人の死に関する内容を含みます。
苦手な方は閲覧をお控えください。
自分は競馬が好きだ。
今は春のGIシーズンで、毎週末のレースが一層楽しみになる時期である。
2024年4月11日。
この日は、週末に開催される皐月賞(GI)の枠順が発表される日だった。
自分は枠順を参考に、3歳馬がどんな争いを繰り広げるか考えることを楽しみにしていた。
しかし、そんな自分に信じられない知らせが入って来た。
4月6日に阪神競馬の第7レースで落馬し、集中治療室に入院していた藤岡康太騎手が亡くなったのだ。
藤岡康太騎手は、2007年に18歳で騎手デビューした。
3年目の2009年には、NHKマイルカップ(GI)で、大穴(10番人気)のジョーカプチーノと共に初めてGIを制覇した。
そして、彼は昨年(2023年)のマイルチャンピオンシップ(GI)で
・レース当日に代打騎乗が決定
・自分が乗ったことのない馬で出走
・乗る馬は、出走馬で唯一の牝馬
・枠順は、不利とされる大外枠(8枠16番)
という非常に厳しい状況から
・自身は14年ぶりのGI制覇
・乗った馬は8度目の挑戦でGI制覇
という偉業を成し遂げた。
彼はレース後のインタビューで「本当に馬がよく頑張ってくれました」と、自身の勝利より勝った馬の実力を称えた。
また、彼には昨年(2023年)6月に息子さんが誕生しており「帰って子供を風呂に入れないと」と話した。
彼は、騎乗する馬や関係者に対する感謝の気持ちを常に忘れない人だった。
それは、騎手としてだけでなく、1児の父として、そして1人の立派な人として、周りからの尊敬を集めていた。
加えて彼は先月(2024年3月)に通算800勝を達成し、これから更なる飛躍が期待されていた。
このような素晴らしい人が、不慮の事故でこの世を去ってしまい、競馬界は悲しみに包まれている。
しかし、彼の兄である藤岡佑介騎手は「競馬を応援してくださるファンの方々の記憶のなかに、悲しい出来事として残ってしまうことを康太は望んでいないと思います」という声を挙げている。
私は以前の記事にも書いたが、競馬で何よりも大事なのは「全ての馬と騎手が無事にレースを終えて帰ってくる」ことだ。
騎手も競走馬も、生きている以上の価値はない。
2024年4月11日は、自分が競馬ファンとして、改めて「全てのレースで全人馬が無事に帰ってくる」ことを祈り続けようと思う日になった。
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