遍歴
皆さんは「メイド喫茶」と聞いて、どんな単語を連想するだろうか。
おそらく多くの人が連想する単語は「萌え」だろう。
しかし、自分は最近まで「萌え」を提供するメイド喫茶に足を踏み入れたことがなかった。
自分は国内外を問わず多くの人が一堂に会する空間で「愛込め」をするのに、どことない恥ずかしさを感じていた。
※愛込め:料理や飲み物を美味しくするため、メイドさんと一緒に「萌え萌えきゅん♡」と「おまじない」をすること
動画に映っているメイド「れなち」さんは、メイドさんの中でも特におもてなしレベルが高い「スーパープレミアムメイド」さんだ。
あっとほぉーむカフェ一筋10年で、日々努力している姿が素晴らしいと思う。
では、自分はメイド喫茶に行ったことがないのかと言うと、それは違う。
自分は、2015年に上京してから約9年間、日々メイド喫茶に触れながら生活している。
自分が初めて行ったメイド喫茶は、池袋にある「ワンダーパーラーカフェ」だった。
ワンダーパーラーの制服は、クラシックなロング丈で、色は白と黒のモノトーンになっている。
秋葉原で見かける「萌え」を感じさせる、短い丈で派手な色のメイド服とは一線を画している。
ここでは基本的にメイドさんとの会話はなく、紅茶を飲みながら静かに過ごす場所だ。
自分にとって、この非日常感は特別なものであり、とても優雅な空間だ。
この次に自分が通ったのは、2020年10月に閉館した「私設図書館シャッツキステ」だ。
ここは秋葉原から少し北に進んだ末広町にあった。
制服のデザインはワンダーパーラーに近いが、ここでは読書やリモートワークをしながら、メイドさんと言葉を交わすことができる社交場となっていた。
コロナ禍による減益やメイド長の海外移住などが重なり、閉館せざるを得なくなったのが悔やまれる。
シャッツキステが閉館した後、自分は湯島、浅草、中野にあるメイド喫茶へ歩を進めた。
湯島は、今も昔もスナックやキャバクラ、ガールズバーが立ち並ぶ夜の街だ。
そこに、2019年からメイド喫茶やコンセプトカフェなどが現れた。
湯島にあるお店は、雑居ビル特有の小ぢんまりとした空間で、1人あるいは仲の良い人と飲みながら、メイドさんと積もる話をすることができる。
今の自分は「メイド喫茶 最果て」と「メイド喫茶 とまり木」の2か所に通っている。
浅草は長年、観光客で賑わう場所だが、メイド喫茶は今まで存在しなかった。
しかし、地元が浅草の総監督(オーナー)「なごみ」ちゃんが「メイド喫茶 紡(つむぎ)」を立ち上げた。
紡の制服は、なごみちゃんがデザインを手掛け、そのお母様が手作りしている、こだわりの物だ。
メニューではメイドさんが選んだ銘柄の紅茶が飲める「推し紅茶」や「なないろクリームソーダ」が楽しめる。
中野は長きに渡りサブカルチャーの街として知られている。
自分は、そこにある「リリウム」にも通っている。
リリウムの制服もロング丈のメイド服で、落ち着いた雰囲気を感じられる。
メニューでは月替わりの紅茶やコーヒー、お酒と一緒にメイドさんの手料理を楽しめる。
これまでに通ってきたメイド喫茶は、いずれも「落ち着き」を重視した場所である。
そして、現在通っている場所は「メイドさんに会って話せる」ことも重視されている。
これらの場所へ通ううちに、自分の頭の中から「萌え」という単語はほとんど消えていた。
しかし、その「萌え」を思い出させ、自分が「萌え」の世界に足を踏み入れる機会が、つい先日生まれた。
詳しい内容は、続きを別の記事で書こうと思う。
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