見出し画像

ハンドメイド作品と「ことば」の関係。~その作品、イメトレ、足りてる?~

どうも、ハンドメイド変態ツルカワです。今回はハンドメイドと「ことば」の話をしようかと。ハンドメイド作品にみなさん、どうタイトルを付けていますか?きっと悩んで付ける作品もあれば、パッと浮かぶ作品もあるでしょう。またはこういう名前の作品を作りたいという逆の発想も多いのかも知れません。

ツルカワは(ぬこ絵はともかく)ハンドメイド作品は作れませんが、展示を作るときの「ことば」にはことのほかこだわります。いわば展示のタイトルですね。ではここで【PlumTree】の歴代の展示タイトルを見ていただきましょうか。

「はるのきおく」
「春のどうぶつカーニバル」
「星夜紀行」
「魔法の森は青い湖のほとり」
「まよなかのウィンター・パーティ」
「わたし。展」
「ノスタルジア遊園地~マナツノヨユメ~」
「空想薬草園」
「君住む街に粉砂糖をひとさじ」
「わたしたちの名は花もしくは実」
「夏草の園庭~空想薬草園2~」

あとこれから
「ポラリスの少女」
「ビストロ白昼夢」

が控えています。

これを見ていていただいておわかりと存じますが、ツルカワはタイトルを考えるときに「展」ということばをほとんど使わないのです。「わたし。展」は例外ですが、これは「ハンドメイド作品で“わたし”を表現する」という比較的テーマが限定的なものだったことによります。
企画展を決めるとき、テーマからタイトルを決めたり、またはその逆のこと、ツルカワの場合は双方ありますが、どちらのときも、ツルカワは意識して「展」ということばはつかわないようにしています。

例えば、次回の「ポラリスの少女」は“春・星空・少女”がテーマ。これは、テーマ先にありきでタイトルは後付けのパターンですが、ツルカワは、タイトルを考えるとき、参加者がそのテーマを膨らませやすいだけではなく、かつ、作品のイメージを幅広く喚起してもらえるようなことばを紡ぎます。つまり「春の星空と少女展」としてしまいたいところを「ポラリスの少女」とする。どうでしょう。展示のイメージも全然異なりますね。どことなく「春の星空と少女展」よりかは、それを耳にした人に「なにがあるんだろう、どれどれ」という興味を引き立てるタイトルになります。

ただ、その分、作家に「何を作ればいいんだろう」と深く思考を試行錯誤することにもなります。【PlumTree】の企画展は、参加を決めたものの、いざ取りかかると何を作ればよいか難しくなる方も実際多いようですし、直接「ツルカワさんの企画展は難しい」と言われたこともあります。

画像1

(2017年12月「君住む街に粉砂糖をひとさじ」の展示風景)

でも、そこがツルカワの狙いなんですよね。「とりあえず星のある作品出せばいいや」「少女を描けばいいか」。そうならないように、そのタイトルにそってのイメージを咀嚼し、自分なりの表現を見つける作業。それも企画展の一環として「楽しんで」ほしいんです。絶対為になりますから。このイメトレは、その後の作品作りに。そのかわりその結果出てきた作品に、ツルカワは文句は付けません。ようは、ツルカワがぽーーーーんと投げたタイトルからどれだけイマジネーションを発揮して、作品として打ち返せるか、が、【PlumtTree】の企画の意義だったり、ときには、作家さんの選考基準だったりもします。そこを怠ってほしくないんですね。

でもこの「ことば」のイメトレがあると、その作品の土台にある自身のオリジナル性はそれをしないより相当説得力が増すとツルカワは思っています。たとえ姿見が似た作品があったとしても、その底辺にある作品にこめた自分だけのストーリーや、思考の咀嚼があれば、「それ、誰々さんのと似てる」とたとえ指摘されても、「これはこうこう考えた結果作った私の作品です」という言葉が発することができれば、「強い」です。

それとおなじく企画展も「強い」。オリジナル性が強くなります。正直、星空がテーマの企画展なんて日本中にあるんです。それと似ないためにはどうすればいいかということは当然気にします。でも「ポラリスの少女」と銘打った企画展は(いろいろ「ことば」をググった上で決めていますし)ここにしかないです、そう主張することができます。作品のタイトルも、いわば一つのツルカワの「作品」と考えていますので。

なので、もし、もしですが、自分の作品にオリジナル性がないとお悩みの方がいたら、「ことば」からのトレーニングをやってみたらいいと思います。「ことば」から始まる思考の咀嚼、それも作品作りの鍛錬のひとつ。ツルカワはそう思います。

なんにせよ、これが自分の作品だ、展示だ、と言えるものを作るためには、技術だけでなく思考の鍛錬も必要、ということでしょうか。

いろいろがんばって日々の濁流の中生きてます。その流れの只中で、ときに手を伸ばし摑まり、一息つける川辺の石にあなたがなってくれたら、これ以上嬉しいことはございません。