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詩:ことばを歩ませる


しずかな月

ぼくは黙っているよ

あなたとわたしが見届ける

この世界

限られた

言葉の舟に乗って

きみの髪は

詩の風になびいて

記憶と忘却のなかを

伝わる

わたしはここに居て

かつて見た

透きとおった青い空を

色あせないうちに見せたい

旅人は帽子をふかくかぶり

また道をゆく

荒れた海をとおくに見つめて

山の峰に霞が掛かるのを見たとき

また一歩踏み出すのだ

足の裏に砂利の感触を

確かめながら

月の色は月の色で

永遠に定められない

わたしの中の限られた言葉で

人たらしめていることを

くり返し

言い聞かせているのだ

あなたを敬うために

言い聞かせているのだ





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         つる かく

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